twitterはじめました。

 サイドバーの一番上にtwitterを表示できるようにしました。
 
 全然更新されないのでどこか聞いたこともない外国の鉄道でも見に行って行方不明になったか?と思った方もいるかもしれませんが、すいませんただ更新してなかっただけです。書きたいことはいろいろあるんですが、最近なかなか更新できないのでそんなときはtwitterでつぶやいてみようと思ってます。
 しかしtwitterのユーザーを見てみると、Railway Gazetteとかけっこう鉄道系のユーザーもいるのね。南アフリカのGautrainは工事の進捗状況を逐一つぶやいてます。DBAGもありました。こういうのを拾って書いていけば日本のほかのメディアには出ない海外鉄道情報がまとめられるかも。やっぱりこういうのは海外の人はけっこう活用してるんですね。そういえばイランの人たちはデモのとき、自分たちの実情を発信するメディアとして使ってましたね。通信社もtwitterの情報を拾って記事化したりしてました。つぶやきジャーナリズムの誕生だ。
 日本でもそうなれば面白いなあ。でも、一般レベルでは普及してもオフィシャルで使うところはあんまりでないかな。

 ていうか最近いろんな分野で思ってるんですが、日本って言語が完全に独自(言語学的にいうと孤立言語っていうんだっけ)で、ヨソの国とは海で隔てられているから大半の人は他国の言語を習得しなくてもほとんど困らないし、逆に言えば覚えるのがやっかいな言葉だからヨソからは入ってくるのがやや辛い。かつ国内だけでそれなりの人口(=市場)があって、逆にヨソの国からわざわざ特別仕様にカスタマイズして売り込むほどの規模ではない。というのを考えると、昔の大陸文化の影響とかはさておき、現代がいかにグローバリゼーションの時代といっても必然的に独自の文化が育ちやすい環境なのだろう。たとえば動画投稿はYoutubeよりニコ動、って人が多いし*1SNSFacebookよりmixiだし、モバイルインターネットはスマートフォンよりニンテンドーDSだし。だから世界のVodafoneウォルマートも苦戦するんでしょうね。
 鉄道も独自システムと言えるでしょう。そういう文化の違いを鉄道を通じて見ていくと面白いなあと思います。

 そういえば鉄道模型の連結器は各国の文化をよく表している気がします。各メーカーがそれぞれ非互換で高機能を競う日本はクローズドな独自文化が育ちやすい土壌を感じさせるし、NEM規格で基本的な取り付け部分を規格化し、その上でヘッドは各メーカーが自由に開発するヨーロッパはまさにEU的発想、というか、実物のヨーロッパの鉄道でも盛んにいわれる「Interoperability」の思想ですね。今ではケーディ互換タイプがデファクト・スタンダードになったアメリカはいかにも資本主義の盟主というか、売れるものが市場を支配するのだ!という感じです。

 というわけで話が飛びまくってますが、みなさんtwitterフォローしてね。

*1:私はYoutube派です。いくつか動画上げてます。チャンネルはhttp://www.youtube.com/amaimikan

サンフランシスコBARTでも軌道回路異常があった!

 ワシントンDC地下鉄事故の続報、というか関連情報です。
 同地下鉄とほぼ同じ時期に建設され、ほぼ同様のシステムを使っているサンフランシスコの高速鉄道BART(Bay Area Rapid Transit)の開業時に、今回ワシントンの地下鉄事故現場付近で発生したような軌道回路の異常が頻繁に起きていた、と7月7日付ワシントンポストが報じています。
(参考=ワシントンポスト。この記事は特ダネのようで無料ユーザー登録をしないと見れません。記事タイトルは「Sister Transit System Took Steps to Counter Hazard」)

 BART(なんと日本語ページあり)営団6000系が前面デザインをパクッたとして有名*1なサンフランシスコ湾岸地区の高速鉄道。1972年に開業し、現在は5ルート約150kmの路線網があります。開業時から乗務員添乗の完全自動運転システムを導入しており、初期車はワシントンDCの最古参、1000系と同じRohr製です(BARTが千代田線6000なら、ワシントン地下鉄は小田急9000ですね)。私が幼少期に読んだ電車の本なんかだと「がいこくのちかてつ」といえば必ず出てくる「未来の地下鉄」でした。

 ワシントンDC地下鉄事故では、現場付近の軌道回路に事故数日前から異常があり、列車の在線検知ができないことが度々あったと既に報じられていますが(7月3日付参照)、今回の記事によると、ほぼ同様の事象がBARTの開業時にも頻繁に発生しており、72年には本来なら減速指令が出るはずの場所で加速してしまい、留置線に突っ込むという事故があったのだそうです。この事故はBARTの歴史について書かれたアメリカ版wikipediaの「Incidents and accidents」の項目の一番最初に載っているものと思われます。

 この事故を受け、BARTは軌道回路による列車検知システムのほかに、バックアップシステムとして「Sequential Occupancy Release System」を設けたが、ワシントン地下鉄にはこれがなかった…というのが(超端折った)記事の要旨です。
 この「Sequential Occupancy Release System」(略称SORS)はどういうシステムかというと、いわゆる「チェックイン・チェックアウト方式」を指しているようです。
(参考=米プリンストン大学の論文か何か(pdf))
 「チェックイン・チェックアウト方式」というのは、列車がその区間に「いるかどうか」ではなく、「入った(チェックイン)」「出た(チェックアウト)」を確認するやり方です。たとえば列車の先頭と最後尾に発信機を積み、区間の入口と出口には検知装置を設置しておいて、先頭車が入口に入ったら「チェックイン」→(区間に進入した=在線)→最後尾が出口を通過したら「チェックアウト」(区間から抜けた)、と判別するという仕組みです。
 要はBARTは軌道回路とは別系統のバックアップ・システムを持っているわけですね。軌道回路に異常があっても、別のシステムがあれば防げたのでは…というのは、軌道回路の問題が事故原因として有力視されている中、確かに頷ける指摘でしょう。ちなみに、ワシントン地下鉄事故の突っ込んだ方の車両の車載コンピューターは、同区間の最高速度59マイル(約94km/h)を指示していたと見られているようです。

 …というわけでわざわざユーザー登録して見てみたらそれほどの話ではなかったんですが、興味のある方は見てみてください。

 しかし、軌道回路の異常ってそんなに発生するものなんでしょうか。京急が先頭電動台車に拘っているのは軌道回路の動作を確実にするため、と言われていますが、日本国内でも多少は起きているんでしょうか?


 私はこの事故をけっこう関心を持って(というと不謹慎かも)見ているのですが、それはなんといってもこれまで「安全」と考えられ、私自身もそう思っていた自動運転列車の事故だからです。列車事故があるとすぐ「ATSはどうなっていたのか」とTVのコメンテーターなんかも言い出しますが、それはやっぱり「ATSはバックアップシステムとして(一応は)信頼できる」という前提があるからですよね。この事故は、今まで確実だと考えられてきた「最後の砦」が実は脆いものだったということをさらけ出してしまうのかもしれません。もちろんアメリカと日本ではシステムが違うでしょうが、だからといって「アメリカは遅れている」で済ませてしまっていいのか?と思います*2。何しろ世界トップレベルの技術力・安全性を誇るはずの日本の鉄道が、福知山線脱線事故のような「テクノロジーでほぼ確実に防げる」はずの事故を起こしてしまったのだから。

*1:ついでにいうと、イタリア・ナポリCircumvesvianaのETR001も絶対BARTのパクリだと思う

*2:まあメディアに出ないだけで、専門家や関係機関の人々はいろいろ研究されてるんでしょうが

台北MRT 内湖線が開業

 4日、台北捷運(MRT)の新交通システム、内湖線が正式開業。
(参考=International Railway Journal台北MRTのサイト
 内湖線は、既存の新交通システム路線である木柵線の延伸として、同線の北の終点、中山国中駅から松山空港などを経て南港展覧館駅までを結ぶ全長14.8km、全12駅(高架10、地下2)の路線。木柵線と共通の運行システムを導入し、列車運行上は1つの路線として直通運転を行います。列車は完全自動運転のゴムタイヤ式電車4両編成で、電気方式はDC750V。本線上の最急勾配は58‰、最高速度は70km/hで、最小運転間隔は90秒です。「正式開業」というのは、数日前から沿線住民向け試乗会を行っていたからのようですね。

 木柵線のシステムはVAL。VALはフランスのMatraが開発したゴムタイヤ式の自動運転交通システム(AGT)*1ですが、Matraは会社がなくなってしまったので現在はシーメンスが開発を引き継いでいます。ヨーロッパではフランスのリール、トゥールーズ、レンヌ、イタリアのトリノでメトロとして運転されているのがメジャーなところでしょう(あと、パリ・オルリー空港とCDGにもある)。アジアでは今のところ台北だけですが、ソウルに導入計画があるようです。
 VALと日本の新交通システムを比べた場合、外見上一発で分かる違いは、軌道の左右にある集電用レールと案内軌条が一体化しているところ。そのため、軌道は高い側壁などが必要なく、平べったいというかシンプルな外見をしています。また、ポイントの部分は中央にある案内軌条で切り替えるシステムです。要はパリのゴムタイヤ地下鉄から鉄車輪・レールを取り去ったような感じです(と思います。アレはポイントでは鉄車輪とレールで案内している)。*2


 というわけで木柵線はVALだったのですが、内湖線のシステムを担当したのはボンバルディア。今回の開業用に導入された新車202両も全てボンバルディア製です。そして、内湖線−木柵線の直通運転を行うために、木柵線のシーメンス製運行システムもボンバルディア製の移動閉塞式運行システム「CITYFLO650」に入れ換えたとのことです。要はMatra/シーメンスのシステムをボンバルディアのシステムにほとんど全部取り替えてしまったということでしょう。「VAL」はシーメンスの商標でしょうから、他所のメーカーは使えないんだと思いますが、ボンバルディアのパンフを見ても「VAL」という言葉は出てきません。
 「VAL」が運行システムを指すのか、軌道構造まで含めたシステムを指すのかによっても変わってくるでしょうが、つまりは、木柵線−内湖線は「VAL互換AGT」になったということでしょうか?うーん。


 ちなみに開業から6日までの3日間は、台北ICカード「悠遊カード」で乗車した場合5割引という大盤振る舞いをしたそうです。木柵線は一応全線乗ったんですが(その割に写真がなかった)、新開業区間もいずれ乗りたいです。ああ夜市に行きたい…。

*1:Automated Guideway Transport。要は新交通システムの英語での呼び名

*2:VALシステムについていい本かサイトを知ってる方がいたらぜひ教えてください。仏語は勘弁

ワシントンDC地下鉄追突事故 在線検知に不具合か

 6月22日(アメリカ現地時間)に発生したワシントンDCの地下鉄事故ですが、現場付近の軌道回路の装置が事故の数日前に交換されて以降、列車の検知が正常に行われていなかった模様です。
(参考=7月1日付CNNワシントンポストはトップニュースだった模様)

 6月26日に事故現場付近の軌道回路に異常が見つかったという報道を取り上げましたが、異常が見つかった軌道回路は、事故の5日前にインピーダンスボンド*1を交換しており、その後断続的に列車が検知できない不具合があったとのことです。
 軌道回路は、レールを電気回路の一部に使い、その区間に列車がいること(在線)を検知するシステムです。これによって信号の表示を変えて衝突を防いだり、あるいは踏切を動かしたりするわけですが、在線検知できていなかったということになれば、今回の事故でいえば先行列車がいることを自動運転システム・保安システムが検知できておらず、後続列車を進行させた可能性が出てきます。
 しかし、一般的に軌道回路というのは何らかの故障があれば在線の状態になるように設計されているはずです。踏切の動作を終わらせたりするのに使われる軌道回路(開電路式)は故障した場合、列車がいても在線を検知できない状態になるそうですが*2、もしかして全区間でこちらが使われているんでしょうか?
 また、6月26日に運転士が非常ブレーキボタンを扱ったようだとの報道を紹介しましたが、事故現場の約130m前からブレーキが扱われたとみられ、約40m前からは急ブレーキの痕跡がレールに残っているとのことです。これで「車両のブレーキ故障」という可能性は大分減ったことになります(もっとも、この時に作動したのが日本でいう「保安ブレーキ」で、常用ブレーキは故障していたという可能性は否定できないでしょうが)。
 これまで、事故車両が同地下鉄で最古参の1000系であることなどがクローズアップされていましたが、どちらかといえば運行システムのほうに問題がありそうな感じですね。

*1:軌道回路の境目に設置する装置。帰線電流(レールを伝って変電所に戻る電気)だけを隣のレールに通し、信号電流はシャットアウトしてそれぞれの回路の独立を保つ

*2:踏切の動作を停めるための軌道回路が故障時に在線状態になってしまうと、実際には列車が通り過ぎていないのに通過したことになって遮断機が開いてしまい危険なので、通常の軌道回路(閉電路式)とは逆の動作をするようになっている

アメリカ製LRV、登場

 実に数十年ぶりとなるアメリカ製の路面電車(LRV)がポートランドにお目見え。
(参考=Railway Gazette International)
 実際には5月に納入されて試運転を行っていたようですが、「formal unveiling」ということなので、正式にお目見えしたということでしょう。
 製造メーカーはオレゴン州Oregon Iron Worksの子会社、United Streetcar.LLC*1。Oregon Iron Worksというのは直訳すれば「オレゴン鉄工所」でしょうが、サイトを見ると橋や船やロケット発射台や、いろいろな分野を手がけているようです。登場したのはメーカー形式「10 T3」と呼ばれる3車体連接車で、両端の高床車体に台車を配し、台車なしの中間車体の床面をレール面から350mmとした部分低床車。アメリカ国産といっても一から新しく開発したわけではなく、チェコシュコダ(SKODA)との提携で、技術移転を受け製造されています。車体デザインをはじめ、動力部分などの技術面も現在ポートランドで活躍中のシュコダ製「10T」形を踏襲し、さらに一部の電気部品はチェコから取り寄せているとのことです。
 というと、まるでほとんどチェコ製のようですが、ちゃんと「バイ・アメリカ条項」*2に適合しており、れっきとした「アメリカ製」車両です。つまりはこれからLRTを新たに建設する場合、United Streetcar製の車両を導入すれば「バイ・アメリカ条項」を確実にクリアでき、政府からの補助を受けられるというわけですね。ちなみに今回の車両製造に当たっては政府から400万ドル(約3億8000万円)が投じられているようです。今後も全米各地でLRTが整備されることを見込んで、国内の産業活性化にも結びつけようという思惑なのでしょう。
(参考=wikipediaアメリカ版(関連ソースもあり)
 ポートランドでは路線延長に向けさらに6編成の導入を計画しているほか、アリゾナ州ツーソンに建設されるLRTにも7編成が導入されることになっているそうです。出足は順調ということですね。

 今回のアメリカ以外にも、ポーランドのバスメーカーが新たにLRV製造に乗り出したというニュースもあります。LRTを含めた都市鉄道は、産業としては確実に21世紀の成長分野でしょう(運営面ではどうかわかりませんが)。そういえば日本でも先日、狭軌では国産初の100%低床車、豊橋鉄道T1000形が「ローレル賞」を受賞しましたね。

これはアメリカ製ではありません!豊橋鉄道T1000。外観も車内もすっきりしていていい車両です。

*1:LLC=Limited Liability Company

*2:アメリカ政府の予算が投入される公共事業は、調達コストの6割以上がアメリカ製品であること、という法律。他にもアメリカにはいろいろムチャな法律があるようで、アメリカに鉄道車両を納入している日本メーカーは苦労しているようです。

イタリアで貨物列車が脱線、爆発 16人死亡

 6月29日午後11時50分ごろ(現地時間)、イタリア・トスカーナ州のヴィアレッジョ(Viareggio)駅近くで、液化石油ガス(LPG)積載の貨物列車が脱線、2両が爆発し、周辺の民家の住民など16人が死亡、30人が負傷。周辺の建物が倒壊し、現在も数人が行方不明。
(参考=47Newsla repubblica.it
 たった数両の貨車の脱線で、周辺の建物までもが崩壊してしまったという恐ろしい事故です。

 ヴィアレッジョ駅はピサ−ジェノバ間を結ぶ幹線にあり、ルッカ(Lucca)経由フィレンツェへの路線が分岐する主要駅。インターシティユーロスター・シティも一部が停車します。

 事故を起こした列車はピエモンテ州のトレカーテ(Trecate)発ナポリ近郊のグリチニャーノ(Gricignano)行きで、電機(E655 175)+タンク車14両の編成。脱線転覆したのはタンク車5両で、機関車は脱線していません。

 タンク車はいずれもアメリカの車両リース会社GATXの子会社、GATX Rail Europeの所有する車両。同社はドイツ、オーストリアポーランドに拠点があり、事故車は1両目がポーランド(PKP)、その他はドイツ(DB)所属だったようです。同社は特にタンク車のリースに特化しているようで、サイトでは「one of the largest and most diverse rail tank car fleets in Europe」と謳っています。今回の事故列車のタンク車はいずれもEUの保安基準に適合しているとのことです。

 脱線の原因について、FSグループCEOのMauro Moretti氏は、タンク車の1両目の車軸が破損したとの見方を示しているようです。
(参考=Ferrovie.it OnLine
 機関車が脱線していないことから、この可能性は大きいでしょう。また、鉄道労組は「貨車の車軸が破損するのは典型的な事例で、危険が大きいにもかかわらず今まで考慮されてこなかった」として、大事故には至らなかったものの、最近も同種の事故が発生しているとしています。確かに、原因は不明ながらタンク車が関わる事故で一部路線が不通になっていたことが6月22日付Ferrovie.it OnLineでも取り上げられています。

 貨車の爆発といえば2004年に北朝鮮の龍川駅で起きた事故が記憶に新しいところですが、まさかヨーロッパでこんな事故が起きるとは…。鉄道は最も安全な輸送手段と考えられているからこそ、危険物の輸送にも使われるわけですが、こういった事故はその信頼に疑問符をつけることになりかねません。車両の安全基準の見直しは必至でしょう。ヨーロッパでは貨車に限らず機関車や旅客車両もリースが全盛ですが、原因によっては貸す側の安全対策が厳しく問われることにもなるでしょうね。

 でも考えてみれば日本を含め、世界中ではさまざまな劇薬や可燃物を載せた貨物列車(や、トラックやタンカー)が毎日数え切れないほど行き交っているわけで、そのほとんどが安全に輸送されていることを考えると、そういった仕事に従事している人々に畏敬の念を覚えます。

 しかし、最近鉄道事故がやたらと多いですね。