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2016-11-22

[]福島県沖地震に関する流言まとめ

本日11月22日の5時59分、福島県沖を震源とする震度5弱の地震があり、各地で津波も発生しました。地震・津波・原発に関する情報に多くの人が関心を寄せる中、いくつかの流言などがtwitter上に流れました。


  • 虚偽の被害報告

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あたかも今回発生した津波の写真をアップしているかのように書かれていますが、これは東日本大震災の際の写真です。そのことを把握した多くのユーザーが、不適切な投稿であると指摘・通報していました。熊本地震の際には、「動物園からライオンが逃げた」という趣旨の流言を流した男性が、偽計業務妨害の疑いで逮捕されています。


ニセの被害状況を煽り、周囲を不安にさせる。こうした行為は周囲にとって悪影響にしかなりませんし、いまや本人にとってもリスキーな行動であると言えます。(※多くの批判などが集まったためか、14時現在で当該の投稿は削除されています)


  • 外国人犯罪流言

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残念なことに今回も、「外国人犯罪流言」やヘイトスピーチが見受けられました。twitterでは15日から、新機能として「人種、宗教、性別、考え方などを誹謗中傷または差別している」投稿を、問題あるツイートとして報告できるようになりました。そのため、上の流言に対しても、ただ投稿を批判するだけでなく、多くのユーザーが通報を行っていました。


「ヘイトをたしなめる」「淡々と通報する」動きは、以前と比べてもスピーディになっていると感じられます。(※多くの批判などが集まったためか、14時現在で当該の両アカウントは鍵垢になっています)


  • 政治家の情報発信

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今回の地震の際には、福島第二原発3号機の使用済み核燃料プール冷却装置が停止しました(その後再開)。これについて、衆議院議員のあべともこ氏が、「使用済み燃料プールの冷却ポンプがつまり」と事実と異なる投稿をしました。この件について、多くの指摘が集まり、あべ氏は数時間後に訂正をしました(但し、その訂正の仕方も批判されています)。


災害時には、政治家のガバナンス能力や情報発信がより問われてきます。「確かな情報提供のための投稿」ではなく、「政権批判のための投稿」と捉えられれば、信頼を損なってしまいます。


  • 災害再来流言

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大きな災害発生時には、「災害再来流言」がしばしば発生します。おりしも数日前から、「11月23日に南海トラフ地震が起きる」といった流言がネット上に広まっていました。そのため、より不安を感じてる方も多く見受けられます。


但し、現在の地震研究では、「○月○日に地震が起きる」といった、事前の正確な予測はできません。皆さんも報道などで見聞きしたことがあると思いますが、「○年以内に発生する確率が○%」といった大まかな予測を元に、「いつ来てもおかしくない」と考えたうえで、日々備え続けるしかありません。予言して注目を集めようとする人の投稿に左右されたり、不確かな情報を拡散するよりも、しっかりと対応できるよう備えておくことのほうが重要です。


(適宜更新するかもしれません)

2016-05-17

[]熊本地震に関する流言等のまとめ・その3

熊本地震に関する流言のまとめ、簡易版熊本地震に関する流言のまとめ・その2の続きです。


  • 画像付き犯罪流言

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他県ナンバーで白 軽トラ

解体した家から沢山の物を窃盗しています!

携帯ではなくiPodで撮ったため画質が悪いです(T_T)

許せません!拡散して下さい!

場所は熊本 益城町です。


なぜ警察に通報するのではなく「拡散して下さい」なのか。それに応じて拡散してしまう人が大勢いるのか。多くの疑問を抱くべきツイートです。ここで紹介されている画像は、全く異なる時期の動画のキャプチャでした。なお、元の動画でさえ、それが「窃盗」であるかどうかの裏は取れていません。別動画からあえてキャプチャをとることから、意図的な流言化であると思われます。


  • 「熊本県災害情報」を名乗る悪質デマアカウント

【悪質】「熊/本/県/災/害/情/報」を名乗るデマアカウントがデマ垂れ流し中。潰すべし!(スパブロ手順添付有り)

大津波警報が発令されている」といった流言の他、「先ほど入った情報によりますと北朝鮮からミサイルが発射された模様です」「中国人が略奪を繰り返しているぞ!」といった投稿に加え、煽りや差別的言動を繰り返していました。現在はアカウントが凍結されています。


  • 地元で拡散された流言

4月27日の読売新聞朝刊では、地元で拡散された流言として、「2時間以内に大きな地震がまた来る」「国道の代替ルートが開通した」「某物資集積場に行けば何でももらい放題」といった内容のものが取り上げられていました。発災時、地域によって拡散される流言の種類が異なることは東日本大震災時でもそうでした。例えば佐賀新聞は、「ネットのデマ拡散防止」という記事で、「佐賀でも震度7の地震が起こる」という流言が拡散したことを取り上げていました。その地域の人々にとって、より重要なテーマの流言が拡散されるという現象は、東日本大震災でも確認された現象です(拙著『夜の経済学』参照)。今はその拡散に、SNSやメール、メッセンジャーアプリなどが利用されやすいという変化も加わっているわけです。


  • 「福島から熊本へ送られた畳が利用されていない」?

福島県畳工業組合が、多くの畳を支援物資として被災地に送ったというニュースがありました。このニュースについて、「福島から熊本に送られた畳が誰も利用していない」といった趣旨のツイートをする方が登場。それに対し、実際に使われていると証言する人が現れました。元ツイートは現在、読めなくなっています(別のまとめに対するはてなブックマークの反応)。


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  • その他のtogetterで検証

中央構造線と活断層と川内原発:仰天地図を検証する

「震度を示す九州の地図から、鹿児島県だけを消し去って地震情報を伝えていた」と本気で思い込んだのなら潮時だ。言論人をやめたほうがよい。

川内原発の危険性を強調するための地図が拡散された件と、「川内原発の立地している地域の地震情報が隠されていた」と拡散されていた件のまとめです。



※5月17日 21:42 一部、追加取材のため記事内容を修正しました。

2016-04-23

[]熊本地震に関する流言まとめ・その2

熊本地震に関する流言のまとめ、簡易版の続きです。


  • 犯罪流言について熊本県警が注意呼びかけ

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犯罪増加流言等について、熊本県警が注意を呼び掛けています。犯罪に注意するにこしたことはありません。しかし、注意喚起のために、不確かな流言を利用する必要はありません。


参考として、「東日本大震災における助け合いと犯罪」(『大災害と犯罪』、2103)によれば、東日本大震災の際には、2010年1月〜6月と、2011年1月〜6月とを比較した場合、岩手・宮城・福島では、重要犯罪・窃盗犯・強姦などは減少します。侵入盗は、福島で増加、宮城・岩手では減少しています。外国人犯罪については全国データしかありませんが、こちらも減少しています。


大災害と犯罪

大災害と犯罪


流言によって、県警に対する問い合わせが発生しているという記事もあります。


不安あおるデマ情報、冷静対応を 県警呼び掛け2016年04月22日

熊本地震の発生直後から短文投稿サイト「ツイッター」などのインターネット上で、不安をあおるデマ情報が飛び交っている。県警は21日までにこうしたネット情報約40件の相談や通報を受け、パニックに陥らないよう注意を呼び掛けている。

県警によると、地震直後から「熊本市動植物園のライオンが逃げた」「大型商業施設が燃えている」「川内原子力発電所が爆発した」といった捏造[ねつぞう]情報が広がった。

「消防団になりすまして強盗をしている」「女性への乱暴が相次いでいる」などの犯罪情報の書き込みもあるが、県警は具体的な被害を確認しておらず、デマ情報とみている。震災義援金を福岡県の会社名義の口座に振り込ませようとする例もあった。

被害が甚大な南阿蘇村の男性職員(41)は「多くの被災者がつらい避難生活を強いられる中、不安をあおるだけの情報を流すのは許せない」と憤る。

県警サイバー犯罪対策課は「不確かな情報をうのみにせず、報道や行政からの情報で確認し、冷静に対応してほしい」としている。(藤山裕作)

https://kumanichi.com/news/local/main/20160422008.xhtml

【熊本地震】熊本県警に「デマ通報」問い合わせ40件 「確認に時間が割かれる」と困惑

同県警には21日午後5時までに、地震関連で110番通報や警察署への電話など「デマに関する問い合わせ等」が約40件あった。「事実と異なる通報でも、真偽を確認する作業に時間を割かれることになる。拡散する前に、必要な情報は信頼できる情報から確認を取るなどした上で判断してほしい」と要請している。

一方で、車の中に誘い込まれそうになったり、不審者につきまとわれたりする事件も発生しており、同県警は注意を呼びかけている。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/22/kumamoto-police_n_9755466.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001


以下のチラシは、熊本県警が実際に行っている注意喚起です。


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災害時には、義援金詐欺やリフォーム詐欺等、便乗型の犯罪発生もあるので、「増加」という表現については、こちらのほうを注意喚起するのが望ましいでしょう。また、性犯罪など、相談がしにくく暗数が不透明なものもありますが、「増加」というフレーズを用いて煽るよりも、適切な相談先をアナウンスするなどの対応がいいでしょう。


  • 焼肉騒動

「4月20日西原小学校にて朝11時より肉100キロ焼きます」という書き込みが、一時ネット上で拡散されました。


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これに対し、西原小学校が否定する注意喚起を行いました。

2016/4/19(火)9:11:33

【注意】SNSの情報にご注意を!

2016/4/19(金) 昨夜からSNS等で「4月20日西原小学校にて朝11時より肉100キロ焼きます」という内容の投稿が拡散されていますがそのような事実は一切ございません。またその件についてのお問い合わせが昨夜から多数あっており、学校・避難所としての本来の業務に支障を来しています。もしもご友人間等でこの件が話題になりましたら「事実ではない」ということをお伝えいただきますようお願いいたします。

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この件について、投稿主とされる方はその後、「学校側の方に相談をせずにフェイスブックにて焼肉のことを広報してしまいました(…)この私の独断による広報によって、避難所である小学校の電話は問い合わせてパンクするほどになり、その電話の対応のために避難所として必要な活動が妨げられ、深夜に及んで対応してくださった先生方やボランティアの方にはなんとお詫びをしてよいのかわからないくらいのこととなっております。また、焼肉のことを聞き、楽しみにしていただいてた方々に対しましても、結果としてこの情報がデマとなってしまいましたこと、まことに申し訳ございません」と書き込みしています。


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  • ヤマト運輸を騙るなりすましアカウント

http://togetter.com/li/964043


「ただいまヤマト運輸株式会社では、九州地方を中心とする震災発生に伴い支援物資輸送協力隊を結成いたしました。支援物資の輸送等の依頼は当アカウントのDM投稿から並びに不明な点の質問にもお答えしております。今こそ1つの輪を築き上げましょう!負けるな九州!」


そもそも文章が変であったり、支援物資の依頼をツイッターでのDMで受け付ける点など、おかしな点だらけでした。4月17日時点でヤマトは、「熊本県内での宅急便の集配状況について」として、以下の文章を掲載していました。

いつもヤマト運輸をご利用いただきまして、ありがとうございます。

熊本県を中心に発生している「平成28年熊本地震」に伴い、熊本県と宮崎県の一部地域に向けたすべての荷物(宅急便・クロネコDM便など)の荷受けを一時的に中止させていただいておりましたが、本日4月17日13:00より宮崎県の一部地域(西臼杵郡全域、東臼杵郡 椎葉村)への荷受けを再開いたしましたので、お知らせいたします。

なお、熊本県向けの荷物の荷受けおよび、熊本県全域での集荷と店頭での荷受けについては引き続き中止しております。

お客様にはご迷惑をお掛けいたしますが、何とぞご了承いただきますようお願い申し上げます。

また、熊本県全域以外の九州地方を発着する荷物のお届けにつきましては、一部地域で遅れが生じております。

お届け遅延の詳細につきましては、弊社ホームページの「お荷物のお届け遅延状況について」(http://www.kuronekoyamato.co.jp/chien/chien_hp.html)をご覧ください。


なりすましアカウントは、現在はクローズドアカウントになっています。


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  • 政府はオスプレイの宣伝のため、チヌークを使わなかった

『オスプレイのために自衛隊のヘリは一日遅れさせられた』というデマを流したくて仕方がない人たち

オスプレイ批判のために拡散したものですが、実際にはCH-47チヌークは活用されているという検証結果がまとめられています。


災害対策本部の資料(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20160417/giji7.pdf)でも、CH-47に関する記載があります。


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  • 川内原発が制御不能?

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「九州電力の知人からの情報」という、流言に定番の枕詞がついていますが、ソースは一切ありません。


  • 中国でも地震懸念流言

中国地震台ネットワークセンターの潘懐文主任らが18日、記者会見し、九州で相次ぐ地震の影響について「統計的に判断して、短期間に中国で強い地震が起きる明確な状況にはない」とし、中国でも地震が起きる可能性が高くなっているとの見方を否定した。

中国社会では今回の地震で中国大陸の活断層が刺激を受け、強い地震が誘発されるのではとのうわさが広がっていた。記者会見には不安やデマを抑える狙いがある。

http://www.sankei.com/world/news/160418/wor1604180033-n1.html


※適宜更新するかもです

2016-04-18

[]熊本地震に関する流言のまとめ、簡易版

熊本地震の発災以降、多くの流言がネット上に拡散されました。それらを網羅的に収集するつもりはありませんが、代表的なものを簡単に整理しつつ、改めて注意喚起をさせていただきたいと思います。


  • 被害を誇張する流言

災害時には、非日常的な環境変化によって気分が高揚するためか、被害を誇張するタイプの流言を拡散する人が後を絶ちません。熊本地震では現在のところ、「動物園からライオンが逃げ出した」「川内原発で火災が発生」「ショッピングモールで火災が発生した」といった流言が確認されています。最初のツイートを行った人たちは、まったく無関係の画像を貼りつけていることから、本人の投稿意図としては「ネタ」のつもりなのかもしれません。しかし、無用な問い合わせの電話等を増加させるなどすれば、様々な支援現場の足を引っ張ることにもなりかねず、悪質です。


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熊本地震のデマ、ネットで出回る 安易な拡散には注意を

デマツイートにご注意を!「ライオンが逃亡」…ご丁寧にニセ写真付き 「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」など悪質

ライオン脱走、井戸に毒……。地震関連デマ。「業務妨害罪になりうる」と弁護士

「ライオンが逃げ出した」「川内原発で火事」Twitterでデマ拡散【熊本地震】

熊本地震のデマ、大手メディアも報道 イオン火災、ライオン逃走…

地震でイオンモール熊本クレアが火災!?


  • 災害再来流言

既に報じられているように、これからも大きな揺れが継続する可能性が高いため、警戒が必要です。しかし、「○月○日により大きな地震が来ます」といった、根拠のない予言で煽る流言には注意が必要です。東日本大震災の際にも、「【拡散希望】阪神淡路大震災は二時間から三時間後に最大の揺れがきたので、気を緩めないでください」といった流言が拡散されたり、地震予知で周囲を煽る人が存在していました。現代の科学では、そのように正確な地震予知はできません。災害に備えるのに、流言は不要です。


  • 外国人憎悪を煽る流言

「外国人犯罪流言」とも似ているのですが、熊本地震では、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」等といったツイートをする者が複数人、確認されています。関東大震災時に拡散した流言をコピペしたもので、投稿した人は「冗談」のつもりかもしれませんが、流言の拡散であり、ヘイトスピーチにほかなりません。こういう書き込みを「冗談」で投稿できてしまう人が多数いることは、平時からのこの社会の問題とも言えます。


  • 政治的対立を煽る流言

東日本大震災の際には、「民主党議員が講演の場で、地震が起きてラッキーと発言した」といった流言などが発生しました。今回も、左右の政治的対立を煽る流言が発生しています。例えば熊本地震では、炊き出しをする自衛隊員の横で、自衛隊反対派が抗議をしている、という旨のツイートが行われていました。


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しかしそこで紹介された画像は、2012年9月2日に行われた防災訓練への抗議の模様でした。元々の抗議そのものの賛否は色々あるでしょうが、時期が異なる画像を並べることによって、誤った印象を与えるツイートは、流言に他なりません。


この他、以前から流言であると確認されてきた、「辻元清美議員が、阪神淡路大震災時、自衛隊活動を妨害したという趣旨の書き込みが再拡散していました。


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この流言については、既に下記のエントリで検証済みです。


東日本大震災時に拡散された「辻元清美が阪神淡路大震災時に反政府ビラを配っていた」という流言について

東日本大震災時に産経新聞が拡散した政治流言の再検証


  • 「支援呼びかけ流言」に注意するために

東日本大震災の際には、「【拡散希望】○○町で支援物資が不足しています、すぐに●●を送ってください」といった仕方で、誤った支援情報が拡散してしまうことがありました。正しい支援について考えるのは難しいですが、不確かな情報の拡散により、「善意の無駄遣い」をしてしまうのは避けなければなりません。そこで、少しでも何かのヒントになればと思い、3月に発売した拙著『災害支援手帖』(木楽舎)を、以下のURLで無料で全文公開しました。


http://books.kirakusha.com/saigaishien/


また、「かつてどんな流言が拡がったのか」を知ることは、これから発生する流言に対して身構えやすくなるためにも有効だと思います。当ブログの[流言飛語]タグでは、災害に関する様々な流言も紹介していますので、参考にしていただければと思います。震災関連の流言は、下記の本にもまとまっています。


検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)

検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)


※続きです

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20160423/p1

2016-03-18

[]「外国人留学生のせいで避難所が閉鎖」流言の再検証

※予めお断りしておきますと、このエントリは特定個人を非難することが目的ではありません。「次の災害」の際などに流言が再拡散し、排外的な動きを助長したり、現場の共生を疎外することがないようにするため、改めて検証結果を掲載しておくことが重要だと思い、エントリを立てた次第です。


さて、東日本発災後から数日後、「避難所用救援物資を根こそぎ、近隣の外国人留学生(中国韓国で七割強)が運び出してしまい、避難所の機能停止により閉鎖」という流言が拡散しました。それから5年経った3月11日、一部でこれを「デマではなかった」と主張する動きがありました。そこでは、マナーの悪い外国人避難者や留学生が存在したことや、コミュニケーション上のトラブルがあったことを指摘するレポートが根拠として挙げられています。レポートには、確かに次のような言葉が引用されています。


「外国人避難者についての課題は,(1)避難所に持ち込んだ寝具や食器,自転車等を置きっ放しで避難所を後にしたこと,(2)言葉が通じない,という2点があげられる。(1)については一か月半過ぎたところ処分し,(2)については,避難所での炊き出しや注意事項を周知することが難しかった。しかし,学生ボランティアが通訳を申し出てくれたことや,拡声器や大声で避難者に呼びかけることで日本語でもどうにか伝わることも実感した。」

「体育館に避難していた 30 代とみられる夫婦から,外国人避難者が食べものを散らかしているという苦情があった。確かに,食べ残しのある食器などを避難所の床に置きっ放しにしている様子などが見られた。また,外国人避難者が避難所内のストーブのまわりを占拠している様子なども見られた」

「三条中ではトイレの使用法が滅茶苦茶で,使用法の表示をしたり呼びかけをしたりしても改善されませんでした。避難所を閉鎖した後のトイレ掃除は本当に大変でした。また,外国人が避難所に毛布,自転車,バイク等を置いたままにして引き取りに来ないので,その処理にも苦労しました」

伊藤芳郎・朝間康子『外国人避難者と災害時多文化共生』


但し、「外国人避難者との共生に課題があった」「外国人のマナーの悪さを指摘する人がいた」ことをもって、「避難所が閉鎖した」「略奪があった」等との書き込みが「デマではなかった」とはなりません。こうした正当化は、前に別エントリで、「"部分的な正解"へのこだわり」と分類したものに当たると思います。要は「当たってる部分もあるから流言ではない」というメソッドです。しかし、重要な部分が真実でなく根拠不確かなのであれば、「(断片な事実を元に構成された)流言」という評価が妥当となります。


実際、元のレポートでも、閉鎖の理由については、「3月13日(日)午後,通電による火災発生のため」と書かれています。なお、元のレポートは、災害時の多文化共生を実現するために書かれたものであり、それにも関わらずその一部を抜粋して、排外的な流言が肯定されることも問題です。


避難所はどうして閉鎖したのでしょう。この点については当時、複数の方がネット上で「火災によるもの」と報告し、流言は収束しました。僕もそれを信頼に足る情報として、ブログ等にまとめました。先のレポートはむしろ、その補強材料になるものです。


今回、より確かな情報を求めるため、実際に避難所の運営に携わった方々に、取材を行うことにしました。以下に、その取材の内容を報告します。



  • 避難所を巡回されていたKさんのお話

Kさんは仙台で、多文化共生のために従事されている。震災当時、Kさんは、外国人被災者向けに多言語での発信活動をしていた。三条中学校にも、閉鎖されるまでの数日間ではあるが、毎日巡回していた。

Kさんは避難所の閉鎖が決定した際、まさに三条中にいた。Kさん「避難所の運営者たちで校庭に集まり、ミーティングを行った。当時、復電による急な通電によってショートが起き、校舎からボヤが出た。近隣も復電したので、そろそろ家に戻りましょうかとなった」

Kさん「避難所となっていたのは、体育館と武道館。体育館は閉鎖したが、武道館の方の多少の機能を残した。武道館は畳なので、体育館の床よりはいいだろうという判断。高齢の方で、まだ帰りづらい人もいただろうからと」

三条中学校近辺は内陸なので(仙台駅よりも西)、津波被害はなかったが、インフラ停止によって避難してきた方がいる。電気の通電により、戻ると判断したという。

Kさん「しばらくしてから、ネット上でデマが広まっているのを知った。関東大震災のようなものが今さら拡散するとは思わなかったので驚いたが、かといって現場で実害があったわけではないと認識している。暴動や喧嘩があったわけではない。あくまでネットだけでの出来事だったと思う」

荻上「多数の外国人が来て物資が底をついたといった理由で、意思決定に影響があったりしたか?」Kさん「それは考えにくい。三条中学校は指定避難所になっているので、物資は補給される。あくまで、ボヤもあったし、復電で役割も終えたとの判断」

留学生が多い地域なので、避難所には多数の外国人が集まってきた。その時、三条地区ではない外国人も集まってきた。同じ国の人がいるからと集まったり、情報を求めるために人がいる場所にやってきたというのもある。

地域の人からすると、顔も知らない外国住民たちが、知らない言語で喋っていることへの不安感を抱いた方もいる。その時、マナーの面での不満が住民からあがることはあった。「外国人が散らかしている」といった指摘など。

あとは、原発の不安から、仙台から離れる外国人もいたが、自宅や寮などを片付けないなどいった不満を聞いたこともある。ただ、誤解があったりする面もあった。ある人が「そこの外国人がマナーが悪い」と言っていたので指さした方向をみたら、髪を染めた日本の若者だった、というケースもあった。

Kさんは震災後、多文化防災の研究会を作り、行政、関係者、当事者と、今後の多文化共生の観点からの災害研究を行っている。特に、外国人住民が参加しての地域防災の取り組みに力を入れる。留学生などの多い三条地区でも、関係者と避難所運営について協議している。

日ごろからの留学生などとの交流がない中では、災害時の対応ができるかと言えば難しい。だから、日ごろから顔が見える関係を築いておくことが重要とKさんは考えている。避難所支援の教訓を活かすためでもある。



  • 町内会長のTさんのお話

先生たちが三条中学校の避難所を立ち上げた。地域の6つの町内会長たちが連絡をとりあって避難所に集結し、お手伝いするようになった。自分が行ったときは既に外国人・留学生がたくさんいた。

Tさんは、ストーブの石油入れ替え、トイレ掃除、区役所から支給された食料、毛布の配布を手伝っていた。毛布の多くは、避難者自身が持参してきた。近くの留学生も、宿舎などから持ってきていた。

食料は当日はなかったけれど、翌日からは配給があった。配給は青葉区役所から届いた。朝・昼・夜と、役所の担当の方が避難所の人数を把握して、水や弁当などを配給。食料はだいたい足りていた。

避難所は、火災のために閉鎖した。通電火災が起きて、消防車が来て消火活動にあたった。火元の教室は、体育館の目と鼻の先。いくつか教室が焼け、学校そのものが被災したということで、話し合いの結果、閉鎖することになった。

その頃には余震はあったものの、三条中学校近辺は、潰れたりした家屋はほとんどない状態だった。多くの人が、自分の部屋にいって片付けしたりしていた。既に、地域の数か所で炊き出しもやっていたし、買い物制限はあったものの、スーパーやパン屋さんも空きだしていた。

水も場所によって出はじめて、電気も通った。留学生などの中には、まだ避難所から離れたくないという人もいたけれど、なんとかお願いして帰ってもらった。

初めての事だったので、避難所での課題はたくさんあった。外国人が多い地区ということで、よその地区から三条中学校に集まってきたリ、座礁された外国の方が自衛隊によって遠方から連れてこられたりしていた。とにかく外国人、留学生が多かった。

通訳ボランティアも足りなかった。高齢な方は外国人を怖がっていていた。留学生と一緒に雑魚寝したりするのを怖いと思って帰った地元の人もいた。

マナーの問題はあった。こそこそ喫煙する学生がいたり、トイレも汚したり、都合の悪いことは「日本語ワカラナイ」と言ったり、「略奪」という表現は違うが、一人で二人分の物資を貰おうとする人はいたり、自転車などを置きっぱなしにしたり。東南アジア、中国系が多かった印象はあるが、何人(なにじん)が悪いというわけではなく、一部にそういう人がいたということだ。

一方で、プールからの水汲みの時に、率先してバケツリレーを手伝ってくれる外国人もいた。掃除してくれる外国人もいた。但し掃除は、だいたいは地域の役員や学校の職員がやっていた。遠慮して、なかなか留学生に手伝ってと言えなかった。一部がマナーが悪く、一部が手伝ってくれた印象だ。

マナーの問題は、留学生だから、という側面はあると思う。外国語のできる東北大学のボランティアなどが注意事項を伝えたりしていたけれど、英語の人、インドの人、フランス語の人、中国の人、色々いるので、言葉の壁を感じた。ただ、それと避難所の閉鎖は関係がない。火事がなければ避難所は続いていただろう。

東北大の小田中直樹さんが、中国系の風評は一部のことで、デマなんだと書いたと聞いてる。ネットで見れるはずだ。小田中さんは英語ができるから、困った時に、通訳で助けてもらっていた。風評の影響というのはないわけではなくて、近くに国見小学校という避難所があったが、「国見小学校(の避難所)はよかった、三条中学校(の避難所)はダメだった」と言われたりした。

震災後、地域で避難所運営マニュアルの見直しをはじめ、翌年から「避難所立ち上げ訓練」を重ねている。留学生に関する決まり事も書いた。留学生も若者だから、お客様扱いするのではなく、出来ることはやってもらう。

留学生でも1年生くらいの人では、日本語が分からない人も多い。そういう人に、英語や中国語などで一時間くらい、防災のルールを伝えたりしている。また、留学生にAEDの使い方を教えたり、応急救護を伝えたりもしている。マナーとかしつけとか、そういうのよりも、具体的に参加してもらえる訓練のほうが、留学生も積極的なようだ。何日続くかわからない避難所生活なので、みんなの力で分担していくことが重要だと思う。



  • 三条中学校校長(当時)・伊藤芳郎さんのお話

伊藤さんは当時、三条中学校の校長を務めていた。卒業式の準備で、校長室にいたときに発災。生徒たちを校庭に避難させた後、順次、保護者へ引き渡していった。その後、三条中学校を避難所化。体育館、武道館を開放することにした。避難所設営には、残っていた生徒たちも積極的に関わってくれた。

仮設トイレを設置し、体育館にシートを引き、仕切りを設置する、武道館に畳を敷くなどをした。時間を置かず、次々と避難者の方が来られた。先生方で声掛けしながら、引き渡しと、避難者受け入れを同時に行っていた。

半年前にあたる10月に、三条中学校では町内会主催の防災訓練を行っている。東北大学国際交流会館の留学生も合同で訓練をしていた。そのため、留学生の方は、三条中が避難場所だと知っている。しばらく経ち、留学生達が、荷物を持って避難されて来られた。留学生には、家族がいる方もいる。そうした方も含めて来られていた。

避難に来られる様子は、みなさん整然とされていた印象だ。ALT、英語の先生、大学生ボランティアの人と共に、留学生らに情報伝達した。外国の方はたくさんいたが、名簿作成までは至らなかったので、正確な人数は把握出来ていない。印象は人によって違うかもしれないが、半分以上は外国人の方だったように思う。

備蓄物資は約600人分だったが、避難者が1000人以上いたので、最初は量を二分の一にして配布した。しばらく経ち、役所からも物資が届き、周辺のコンビニなどからも支援を受けたし、差し入れも届いた。一時的に物資が不足したが、配布はお年寄りや子どもに限定した。

13日午後、体育館の脇にある校舎の4階、美術室の準備室から出火した。ボヤ程度ではなく、その教室はかなり焼けてしまった。建物が近くということで延焼可能性を懸念したこと、火事の現場検証の必要があったことから、速やかに体育館にいる方々を校庭に移動してもらった。

火事の後、避難所を閉鎖させた。火事がなければ避難所はもう少し続けていたと思う。閉鎖についての意思決定は、教員や町内会長などで共に検討した上で、最終的に自分が判断した。

閉鎖させたのは、あくまで火事のため。加えて、通電によって電気が戻り、家に戻れる状況になってもいたことも考慮した。留学生は国際交流会館に移ってもらった。残りたがっている留学生もいたが、説得した。閉鎖できる状況が整ったため、合わせて判断した。

荻上「外国人のトラブルが遠因となったことはあるか」伊藤「それは一切ない。あくまで火災があり、危険だと感じたため。留学生らとの混乱もあったという指摘は、後になってから知ったので、レポートに書いた。つまり当時は把握していなかったので、意思決定に影響していない。逆に、火災があったのに避難所を続けるほうがまずいとも思う」

当時、ネットで三条中学校のことが話題にあがっていた時には、既に体育館の避難所は撤去されていた。書き込みについては知っていたが、ネット上の動きを見守ることにした。「略奪」という表現もあったが、避難物資は先生方で管理しており、勝手に持っていくことなどはできない。そのうち、数日で終息したので、学校の復旧にあたった。

避難所は、体育館を先に閉鎖し、武道館は残した。武道館は、すぐに避難できない地域の方や、体調が悪い方が残っていらっしゃった。その後、武道館も閉鎖した。

自分自身は目立ったトラブルは目撃してはいない。個別のことは分からないが、避難所として解決しなくてはいけない大きなトラブルがあったら、自分のところに情報があがってきたのではないかと思う。もちろん、うまく外国の方に情報が伝わらない、あるいは意思疎通が十分ではないということはあり、震災後、課題などをいろいろ伺って、レポートとして書かせていただいた。

留学生などを「お客さん」として見るのではなく、避難者と共にルール作りするのがよいと思った。後に、留学生にそういう趣旨のことを言われて、逆に勇気づけられたりもした

留学生のいる地域としては、日ごろの合同防災訓練を行い、留学生も含めて避難所の運営をしていく力をつけていくことが重要であり、意義ある取り組みだと思っている。地域としてプラスの方向になってほしいと願っている。



  • 補足

避難所の設置・閉鎖の様子については、「『多文化防災』の協働モデルづくり報告書」というレポートの中で、朝間康子氏(仙台市立三条中学校教頭・当時)のシンポジウムでの発言が紹介されています。一連の発言は、伊藤氏の発言を裏付ける内容になっています。


みなさん、こんにちは。国際交流会館の側にある三条中学校から参りました朝間康子です。当日の学校の様子をお話したいと思います。三条中学校では翌日に卒業式を控えておりまして、1年生と2年生がその準備にあたっておりました。在校生は 200 名ほどおりましたが、それぞれの場所で準備していましたので、

地震発生時に生徒の安否を一度に確認できる状態にありませんでした。揺れがおさまるまでの間、それぞれの生徒は教師の指示のもと、鞄で頭を被って落下物に気をつける、机の下にもぐるなどして、身を守りました。

私は子どもたちの様子が見える場所にいたのですが、子どもたちが伏せたりしている様子を確認しながら、いつまでこの揺れは続くのだろうと不安を募らせておりました。揺れがおさまってから生徒たちを校庭に避難させ、全員の無事を確認することができました。すでにその頃から保護者の方が生徒たちを引き取りにいらっしゃったのですが、だいぶ寒くなってきましたので、生徒たちにはいったん武道館へ移動してもらいました。

本来、生徒たちは集団下校してもらう計画でしたが、周囲の状況もまったく分からず、そのような状況で下校させるのは危険を伴うということで、保護者の方へ引き渡しすることにしました。ただ、仙台に戻って来られないという保護者の方もいらっしゃって、武道館で一泊する生徒もおりましたが、翌日には全員の引き渡しすることができました。生徒の引き渡しをするなかで、地域の人たちが学校に避難していらっしゃいました。そのなかには外国の方もいらっしゃいました。地域にはこれだけの外国の方が住んでいたのだなと改めて実感しました。校長の指示で、体育館と武道館を避難所としました。夕方には町内会の方々もおいでになり、その後の避難所運営にも協力していただきました。感謝申し上げます。

今思えば、あの時にああすれば良かった、こうすれば良かったと思うことがたくさんありますが、地域の方々と協働で防災訓練をしていたこともあって、すぐに子どもたちに仮設トイレを組み立ててもらい、5台設置しました。夕方からの炊き出しに備えて、備蓄庫にあった物資を体育館のステージの方に運んだのですが、それも中学生たちが一生懸命に手伝ってくれました。炊き出しの準備の間も、生徒の引き渡しや地域の方々の避難の受入を同時並行で行ったのですが、教職員が中心となってそれらにあたりました。先生方には、予想外のことも多々ある状況のなかでも適切に

対応してくださり、感謝しています。1,000 名以上の方が避難していらっしゃいましたが、外国の方はおそらく同じ国どうしの方で集まって避難し、情報交換をしている様子でした。学校では、学生ボランティアを募り、食料や水の配給を行いました。外国の方も多かったこともあり、学生ボランティアの方に日本語と英語で避難所運営に関するアナウンスをしていただきました。安否の確認のために掲示板を設置し、情報交換できるようにしましたが、入ってくる情報が非常に限られており、私たち自身もとても不安でした。残念ながら 3 日後に通電による火災が発生し、避難所を閉鎖せざるをえなくなりましたが、留学生をはじめとするボランティアにはお世話になりました。

http://www.sira.or.jp/japanese/activity/download/tabunka_bousai.pdf


なお、同レポートでは、課題面についても、様々な指摘がなされています。


佐藤 「言葉の壁」や「文化の壁」がある外国人被災者が、言葉の通じやすい人どうしで集まってしまう。これは当たり前と言えば当たり前なのですが、ネットワークを活かして特定の避難所にどんどん集まってしまう、ということがあるということですね。これは三条中学も同じだったと思うのですが、朝間先生いかがでしょうか。

朝間 三条中学にも地域外の方々がだいぶ集まるということがありました。おそらく、こっちにいるからおいで、というようなことがあったのだと思います。

佐藤 仙台市以外からご来場の方のために補足しますと、三条中学校の側に東北大学の国際交流会館という建物があり、そこに多くの留学生が住んでいるのですが、会館を出た後も会館の近くにお住まいになる留学生が多いようです。また、長く住んでいる方にはこの地域に店を出すケースもいます。外国人住民の「散在地域」と呼ばれる仙台においてもこの地域に比較的多くの留学生とその家族が住んでいます。それもあって、三条中学校が外国人の避難所のようになったということだと思います。片平小学校も近くに東北大学があるので、同じようなかたちだと思います。さて、先ほどに元気な若者が被災者となる一方で、他方町内会が支援者となる避難所の矛盾のお話がありましたが、外国人被災者は支援されるべき存在なのかということを考えたいと思います。仙台市の防災計画でも外国人は要援護者という位置づけになっていますが、確かに言葉の面ではそうかもしれませんが、マンパワーとしての外国人という意味ではどうなのでしょうか。

朝間 先ほども日本語と英語でアナウンスしてくれたという話をしましたが、やはり外国の方がその役を買って出てくれて、避難所の運営のルールなどを話してくれました。本校の ALT も積極的に活動してくれました。しかし、その時に、外国の方にそれ以上に運営を担っていただくという発想がありませんでした。今にして思えば、同じように避難していて、同じように力を出し合えば、もっと良い避難所運営ができたのではないかという思いが実はあります。私たちもそのような視点が欠けていたと思います。

佐藤 そのあたりについて、外国人被災者は支援されるだけの存在か、という点で、馮雷さんからお話いただけないでしょうか。

馮雷 留学生は若い人が多いですし、例えば、荷物を運ぶとか、救援物資を配るなどして自発的に避難所運営を手伝えば、みんな助かると思います。

今野 その通りだと思います。3 月 11 日は学校が春休みになっていました。実際に地域の力になってくれたのは中学生や高校生だったのですね。私たちは毎年、防災訓練を行ってきたわけですが、反省をしています。と言うのは、防災訓練には外国人住民や大学生も参加してくれていたとは思うのですが、私たちが計画したとおりに参加してもらっていただけだったと思うのです。例えばここで地震体験車に乗ってくださいよとか、ここで濃煙体験をしてくださいよとか、こちらで炊き出ししたものを食べてもらうとか。いわば訓練に参加してもらっていたものの、お客さんあつかいしていたのですね。訓練の時から積極的に参加してもらうようなかたちにしておかないと、実際に災害が起きてもお客さんになってしまうのは当然だな、と感じています。

http://www.sira.or.jp/japanese/activity/download/tabunka_bousai.pdf


災害後、「留学生のマナーが悪かった」などといった指摘で立ち止まるのではなく、これからの災害時共生の有り方をめぐって、丁寧な議論が継続されていることが伺えます。


  • まとめ

・改めて、5年前の元ツイ「避難所用救援物資を根こそぎ、近隣の外国人留学生(中国韓国で七割強)が運び出してしまい、避難所の機能停止」により「閉鎖」したというのは、やはり「流言」だと言えます。根拠の不確かさ、時系列の誤り、煽り文句などと相まって、より強い「略奪」といった流言まで拡大させてしまったケースだと言えるでしょう。

・災害時の多文化共生については様々な課題があることもわかりますが、取材に応じてくれた方々は、地域での日ごろの交流、当事者参加型の取り組みを継続することの重要性を口にしてました。実際に各地で、モデルとなるような取り組みが既に始まっているように思えました。

・最後に、このたび取材に応じて下さった皆さまに、厚く御礼申し上げます。

2015-08-17

[]広島平和記念資料館の被爆人形は、「怖いから撤去」なのか?

8月1日〜3日の間、ラジオ番組制作のため、広島市内で取材を行ってきた。「被爆をいかに語り継ぐのか」がテーマだった。定番の広島平和記念資料館も訪れたが、資料館は現在、改修工事が行われている。2010年に公表された「広島平和記念資料館展示整備等基本計画」に基づき、建物の老朽化対策に加え、「被爆の実相をより分かりやすく伝えるため」にと、展示内容も見直されるためだ。


ところで今回の取材では、街の声などを聞く中で、広島平和記念資料館に展示されているジオラマ人形、通称「被爆再現人形」についての話題が何度もあがった。被爆再現人形は、リニューアル後には展示から撤去されることになっている。


この撤去に関して賛否があるが、主にネット上で、「被爆人形が<怖い>というクレームを受けて撤去されようとしている」と話題になったことがある。


痛いニュース(ノ∀`) 「『人形が怖い』との意見で被爆再現の人形撤去へ…原爆資料館」

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1754786.html


Naverまとめ「【悲報】『人形が怖い』との意見で被爆者の人形を撤去の方針…原爆資料館」

http://matome.naver.jp/odai/2136358548947606601


これらのまとめサイトでソースとなっているのは、中国新聞が掲載した以下の記事だ。


原爆資料館の被爆者人形撤去へ 実物資料重視へ広島市 来館者には賛否

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=9116


なお、「痛いニュース」では「『人形が怖い』との意見で被爆再現の人形撤去へ」とタイトルがつけられているが、まとめられた元スレッドのタイトルは、「原爆資料館:被爆再現の人形撤去へ」というもので、元々の中国新聞のタイトルのまま。これを、「痛いニュース」や「Naverまとめ」などが、タイトルを改変し、一部の反応を抽出してまとめ、拡散していたことがわかる。しかし、少なくとも市側は、「人形が怖がられるので撤去する」とは言っていない


中国新聞の記事の中では、確かに


この日、市議会予算特別委員会で議題に上った。委員の一人が「旅行代理店のアンケートに、人形が怖いとの意見があった」と指摘。石田芳文・被爆体験継承担当課長は「本館リニューアル後は、展示しない方向で検討している」と述べた。本館は16〜17年度に改修を計画している。

http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=9116


というやりとりが紹介されている。そのため、委員が紹介した「人形が怖い」との意見を元に、撤去が決定されたとの印象が与えられる。では、実際にはどのようなやりとりがあったのか。


委員の質問が行われたのは、「平成25年度予算特別委員会」の3月14日(2013年)。委員はそこで、先立って旅行代理店にアンケートを行ったと述べつつ質問を行っている(参照)。


ここでの主なテーマは、資料館の入館料についてだった。その流れの中で委員より、アンケートの中に記されていた「ろう人形の展示が怖いので,怖くない順路もつくってほしい」という意見も紹介されている。これに対して、広島市の被爆体験継承担当課長から、「このろう人形については,一応リニューアル後は展示しないという方向で検討している」と回答されている。


ちなみに人形の撤去そのものは、計画が公表された2010年7月時点で既に明らかにされている。基本計画の段階で既に、「ジオラマ模型」について、「本館(被爆の実相)では、実物資料の展示を中心としたありのままを伝える展示とするため、撤去や代替展示が望ましい」と記されている(参照)。だから担当課長も、「(そもそも)リニューアル後は展示しない」と応じたわけだ。


だが、このやりとりが抜粋され、中国新聞で紹介されると、委員「旅行代理店のアンケートに、人形が怖いとの意見があった」→広島市「リニューアル後は、展示しない方向で検討している」という流れで意思決定されたかのように読めてしまう。しかし、実際のアンケートの要望も、「別の順路をつくってほしい」というものであったし、委員も「撤去」を要望してはいない。さらには、撤去そのものは、質問が行われる前から決定されていた。中国新聞の記事には誤りは書かれていないが、やや紛らわしいと言える。


その後広島市は、人形の撤去について、ウェブサイト上に次のように記している。


凄惨な被爆の惨状を伝える資料については基本的にありのままで見ていただくべきという方針の下、この度被爆再現人形を撤去することとしたものであり、見た目が恐ろしい、怖いなどの残虐な印象を与えることなどを懸念して撤去するものではありません。(…)

被爆再現人形は、非常に印象に残り、当時の情景を伝えているという展示だというご意見があります。しかし、一方で被爆者の方は、無残な遺体がたくさんあり、男女の区別さえつかず、親子でさえ見分けることができない情景を体験されています。そうした状況からは、被爆再現人形に対して「原爆被害の凄惨な情景はこんなものではなかった。もっと悲惨だった」といったご意見もあります。展示をご覧になられる方の見方によっては、原爆被害の実態を実際よりも軽く受け止められかねません。来館された全ての方々に悲惨な被爆の実相を現実に起こった事実として受け止めていただき、こうした惨劇を今後二度と繰り返してはならないという思いを心に刻んでいただきたいと考えており、そのためにも誰が観覧しても個々人の主観や価値観に左右されない実物資料の展示が重要と考えております。

http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1371543633862/index.html


平和資料館には、現在も多くの実物展示が行われている。また、写真や動画も多く展示されており、その中には、被爆者の身体が映されたものも多い。そうした中で、「Session-22」で取材した際、広島平和記念資料館・副館長の増田典之氏は、「怖い<から>撤去というのは都市伝説的」であり、むしろもっと「原爆の悲惨さを伝えるため」にこそ、リニューアルの中身を検討したいという趣旨のことを述べていた。


一方で、人形撤去反対の署名活動なども行っている、撤去反対の活動をしている方のロジックを見ると、「例え作り物であっても、直感的に子供達に訴える」「最も強烈なメッセージを発してきた『被爆再現人形』を撤去しなければならない、明確な理由がない」と反論していることが分かる。すなわち、「怖い<から>という理由で撤去するな」という主張がなされているわけではない(参照)。


署名を行った方はその後、請願を行い、議会で請願内容の説明もしている。


資料館リニューアル全般につきましては、資料館更新計画や基本計画、また資料館展示検討会議の議事録などを拝見する中で、拝観ルートの見直しや実物展示により被爆の実相に迫り、被爆者や御遺族の心情に寄り添っていくという趣旨は理解できたものの、人形撤去に導いた明確な議論や理由が見当たらないため、人形撤去が妥当という解釈に至ることができません。なぜ、現代の最新技術を用い、もっと被爆の実相に迫る人形をといった、これまでの人形展示を発展させる建設的な議論が出てこないのでしょうか。

平成26年 9月29日総務委員会−09月29日-01号


要は、「怖いから撤去する/怖いから撤去などとんでもない」というところが論点になっているのではなく、「人形が被爆の実相を伝える手段として何が適当か」「意思決定のプロセスはどうあるべきなのか」といった論点がとりあげられていることが分かる。これに対し、広島市の市民局長からは、人形は常設展示からは撤去するものの、保存したうえで、企画展などの際には活用したいと応じている(参照)。


最後に雑感を。平和記念資料館を見学・取材してみて驚いたのは、館内の多くの場所が撮影可能であり、また熱線により変形した瓦など実際に触ることのできる実物展示も多いこと。また、海外からやってきたひとが多く、館内も多言語対応していること。そんななか、被爆再現人形の前で写真を撮る人は多く、国内外問わず多くのひとが足を止めていた。写真を撮り、SNSなどでアップし、人と語り合いたくなる――。被爆再現人形は現状、そうした「目玉」の一つとしての機能を帯びているとは言えそうだ。


被爆再現人形でなければダメだとは思わない。議会でも、代わりに「3DCG」などはどうかいった提案が議員から出ている(参照)。とはいえ、人形には人形の機能がある。だからリニューアルするのであれば、人形同様、訪れた人が足を止め、写真を撮り、「広島平和記念資料館に行ってきた」と人に見せ、語り合いたくなるような展示をしてほしい。もちろん、生存されている被爆者の方々が納得されるようなものであるという前提のうえで。

2015-01-27

[]また上杉隆氏が(以下略

またまた、上杉隆氏の番組で誤情報を流された。今回はその拡散に、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏も加担している。番組では、次のような言及があった。


川島ノリコ:オプエドの中でも色々な意見があってっていう。

上杉隆:それがまた健全なんですけれど。番組内で意見が分かれて。

田村淳:そうですね。色んな意見があっていいわけですから。俺と反対の意見なんだからって、嫌いになったりしないですもん。普通の人って反対意見が一つあったら友達じゃなくなるみたいな感覚を持っているでしょ。

川島:小学生みたいな感じですよね。いま、中でも「いじめみたいだね」というつぶやきがいくつかあったんですけど。

上杉:普通の人よりも、もっと酷いのは日本のメディアの人なんですよ。僕と意見が違う人いっぱいいるんですけど、意見が違う度にどんどんどんどん敵が増えていくんです。でも、違うのは当たり前じゃないですか。だから、ぼくは人格攻撃してないのに、僕と意見が違うと「あいつはダメだ」「あいつは敵だ」となるんですよ。それがね、ジャーナリストの先輩に限って、全員そうなっていくんですよ。

田村:へえー

上杉:すごいなぁと思って。

田村:俺の中で違う意見を持っている人があらわれたら、「えっ、何でそういう風に思うの」って知りたくなっちゃう。

川島:そうですよね。いろいろ話していると、「あっ、そうか、そういう風に思うから、感じるのは、じゃああなたの意見ですよね」って。

田村:話し合うと意見が変わることもあるんですよ。当然、人間だから。その場合、意見を変えた時に、「お前は考えがブレている」と言われるんですよ。

上杉:はははは(笑)。

田村:そんなことないですよ。だって、はじめての意見に触れて、自分の考えが変わることなんて生きていて楽しいことじゃないかと思って。

上杉:本当にそう。

田村:それを、否定する材料を見つけるのが上手い人は、どんな角度からでも否定してくるんで。だから、俺が一番やりたいのは、俺の事、誹謗中傷してる人と直接会って話したい。どこまで理解し合える仲になるか俺は試したいですよ。

川島:その方たちが出てきてくれるかどうかですよね。

田村:でもね、目の前には来ないと思うから、電話番号を出したこともあるんですけど、かかってこないですよね。

上杉:来ないですよ。だって、僕も色々な批判をしているけれど、そういう意味では堂々と話し合いたいわけですよ。だから、池上さんにも4か月くらいやっているけど来ないと。これ、ジャーナリストの人がそうなんですよ。津田大介さんもそうだし、江川紹子さんもそうだし、荻上チキさんもそうだし。異論があるから、戦ったから、違う意見の方が面白いわけじゃないですか。でも、依頼すると、全部拒否。でも裏ではツイッターでは悪口言っているわけですよ。

田村:ははは(笑)。

上杉:だったら、話し合って、こっちが行くんだからと。来てもいいし、行ってもいいし、どういうやり方でもいいから、と言っても駄目なんですよ。

田村:会った方がプラスしかないですけどね。違う意見なんだということを確認し合うこともプラスだから。

上杉:意見の違いで論争するほど面白いことはないじゃないですか。だってタダですよ。自分と違う意見というのは批判とか異論ってのは、自分にとっての情報だから、自分を成長させるのに。同じ意見の人だけ固まったって成長止まっちゃうじゃないですか。

(池上彰氏Dis、上杉氏新刊宣伝などあって)

川島:あともう一つですね、ずっとあった問題と言いますか、オプエドにもたくさんツイートが……淳さん少しだけ大丈夫ですか。上杉さんのことなんですけど。

田村:はい。

川島:「荻上チキさんについて上杉さんから取材申し込み自体無かったと本人がおっしゃっていましたが。」

上杉:うええええええええ?

川島:こういうつぶやきがですね、今は松本さんという方なんですけれども。その他の方も……

上杉:チキさんに今つぶやけばいいんじゃないんですか。

川島:はい。荻上チキさんに対しての問題が沢山呟かれて。

上杉:取材申し込みしましたよね。

川島:でも、荻上さんは「来てない」と。ネットで言っている。

田村:駄目ですよ。ネットで返しちゃ駄目ですよ。

上杉:駄目ですよね。

田村:直接お話しましょうよ。

上杉:自分で、事務所もちゃんと言っているんで、ぜひ。こういうね、嘘をついちゃだめだよ。やっぱり。

川島:そうですね。

上杉:それは無いでしょ。

川島:でも、それを信じていらっしゃる視聴者の方は……。それも私にも来るんですよ。

田村:へえー

川島:上杉さんはそういう風に言っているけど……

田村:ぼくはチキさんと一緒に番組をやったことがあるんですけど、まあ明快な解説してくれますよ。だから、そんな二人が相まみえたらどういう風になるのか、俺は見たい。

上杉:朝生で一緒に何回か出たことあるんだけど。

川島:だからきっと、間に入っている人たちが色々こう。

上杉:そうそう。あと、本人も確認していないでそんなことを言う。ぼくは荻上チキさんが朝生に出れなかった時の取材っていうのは、ウチのスクープを基に、テレビ朝日がなぜそういう風にやったかという。テレビ朝日は自主規制の取材をしたんですよ。田原さんとか5人くらい。テレビ朝日の取材だから、荻上チキさん関係ないわけですよ。「テレビ朝日が自主規制した」という取材をしてそれを書いたわけです。で、そこにいくらね、取材していないと言ってもそれは関係ないわけですから。だって小島慶子さんだってそうだし、していないです、それは。だってテレビ朝日側の取材だから。それを基に言っていると思ったら、それは荻上さんの勘違いだし、その後そういう勘違いが無いようにと。ということで出演依頼を含めてしているのには対しては、出演依頼をして、30秒くらいでしたっけ、30秒くらい? で……

田村:オプエドにチキさん来てもいいんですよね。

上杉:もちろんです。もちろん。もちろん。こっちも出てもいいんですよ。TBSとか。

田村:お互いに行きあうのが一番良いですよね。

上杉:それを断って来たんですから。出ないと。

田村:へえー

上杉:だから議論をしないと、話はつかないし、少なくとも他の業種と違って、ずっと言っているんですけど、ジャーナリストとか評論家は口で糊しているわけですから。これで商売しているわけですから。ここは、きちんと下げちゃだめだと思うんですよ。

田村:そうですね。チキさんぜひ、上杉さんそんな悪い人じゃないんで。ぜひ。

上杉:ぜひ。TBSでも、いつでも良いので。シノドスもなんでもOKと。オプエドももちろんOK。

田村:それでまた、オプエドが面白くなるし。

上杉:全然OK。

川島:そうすると、それを今まで問題というか、気にしていた視聴者の方も、スッキリするかもしれないですからね。

上杉:本当に、そういう様な、周りのね、噂だけでどんどんどん論が立っていく。

川島:そうですね。

田村:本当ですね。

上杉:デマもそうだけどね。僕がなんでデマと言われているのか、最初からもどって皆さんきちんと調べてください。


相変わらずのようで、以下、例によって箇条書き。


・まず、上で読まれたツイートはこちら

・川島ノリコ氏が読み上げたこのツイートはそもそも間違い。正解は「朝生の件では上杉氏からの取材は受けていない」「デマを流されたことをブログで指摘したら、唐突に出演依頼が来たが断った」であり、このツイートはこの両者の時系列を混同している。それをそのまま紹介する川島氏も問題である。

・上杉氏の「取材申し込みしましたよね」というのも間違い。「出演依頼」には「取材」の件は一切触れていない。メールには単に、「新しいメディアのありかたについて」というテーマで当番組に出演してくれ、という内容だった。

・そもそも、こうしたツイートでの伝聞を元に、他人に対して「嘘をついちゃだめだよ」などと評価するような人の取材を受けても、良質な記事になるとは思えない。

・上杉氏は、「テレビ朝日側の取材だから」僕には取材する必要はなかったという理屈を述べている。それならやはり、「取材依頼」は出していないということになるのだが。

・ちなみに、この上杉氏の理屈については首をかしげる。テレビ局と出演者の間にトラブルがあった今回、それぞれの言い分や経緯を確認するために、双方に取材しようとするのは普通だろう。実際、多くの記者が、テレビ朝日にも僕にも取材を申し込んできた。しかし、上杉氏はテレビ局側の取材だけで十分と考えたようだ。

・僕の主張に関しては確認をしないでいいと言いつつ、上杉氏は前回の番組中で、僕のことを「えー本人がなんか一生懸命、自分に圧力がかかったと言っていますが、全然違います」「取材しないで、思い付きをツイッターなどに書いていたのが荻上チキさんということで」と、デマと共に嘲笑した。僕の対応について調べもせずデマを流したわけだが、今回の動画ではそのことを誤魔化している。詳しくはこちら→ http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20141202/p1

・今回の番組でも、「それは荻上さんの勘違いだし、その後そういう勘違いが無いように」と言っているため、上杉氏の認識は今でも変わっていない。取材どころか、ツイートさえ読めば確認できる事実すら確認できていない。

・というか、「ジャーナリスト」なのであれば、文章でレスしてもいいはずなわけだが、やたらと有料番組に出ろ出ろ言うのは、自己宣伝にしか見えない。

・上杉氏が「デマと言われている」理由は単純で、上杉氏がデマを流したからである。


最後に、田村淳さんへ。

僕は芸人としての淳さんを尊敬しています。しかし、いまあなたが加担しているのは、炎上ビジネスです。

デマを流し、嘲笑した人がいて、その人が「反論あれば番組に出ろ」と言っている。そんな状況であなたは、事情もよくわからないまま、「面白いから」「見たい」という理由で出演を促す。実に無責任な行為だと思いますし、淳さんの信頼も損なう行為だと思います。

当然、僕がその番組に出演しても何の得にもなりません。自分の関わるメディアに彼を呼ぶことについても、僕は損しかしません。見ている人への説明であれば、このブログで書いたほうがあの番組より多くの人に届きますから、これで十分です。

あと、当たり前のことを。「悪い人じゃない」ことは、仕事の良質さを保障しません。念のため。これからも何かと気を付けてください。


(2015年最初のエントリがこれでいいのかという気もするが、更新が少ないとこうなるのだ)



【関連】

朝生の一件で、上杉隆氏にデマを流された事案まとめ

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20141202/p1


また、上杉隆氏のネット番組で誤情報を流された事案について

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20141223/p1


「裏をとっている」とは何か

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20120323/p1