導入 なぜ世界が存在するのか。何も存在しない「完全なる無」もあり得たはずだ。しかしなぜかこの世界は存在する。ありとあらゆるものが多様に存在している。無ではなく何かしらの存在がこの世界にはある。少し考えてみるとこれは非常に不思議なことに気づくだろう。無でもよかったのに、一体何をもってこの世界は成り立っているのか、そもそも何を元に存在それ自体が可能になっているのか。「なぜ無ではなく何かが存在するのか」は最も根源的な形而上学的な問いであり、哲学においても最上級の問いだと思う。なぜこの世界は存在するようになったのか、存在それ自体がいかにして可能になったのか。いくつかの説明候補を検討していく。 2点明確…