映画に限らず作品というものにおいて、「何を言うか」「何を言わないか」って難しいですよね。 人の心理って、一つじゃない。 例えば意地悪してきた相手に謝罪されたとして、その時、言葉にできることってなんでしょう。「あなたを許してあげたい」と思っている自分もいる。同時に、「ごめんで済むものか」と思う自分もいる。「今は許せない」「でもいつか許せるかもしれない」「一生許せないかもしれない」「現時点では分からない」「だから今は何も言えない」…。 様々な思いが人の心の中には併存する。 「いいよ、許すよ」と言ってしまえば、周囲は「許された」と合点するだろう。でも自分の心の中には「許すよ」の一言に現れないものがあ…