スウェーデン北部のコミュニティで90年に一度開かれる夏至祭に参加することになったダニーは、両親を巻き込んだ無理心中で妹がこの世を去ったトラウマを抱えている。そのコミュニティでは独自の価値観による儀式や習慣があり、異質な存在であるダニーたち一行は主導権を失って困惑する。 ざっくり書くとそんな物語だが、価値観とは何かという命題が作品全体を包み込んでいる。コミュニティという絶対的な体制の中で、個人の意思や価値観を持つことは悪なのか。それはつまり、民主主義や個人主義が全体的な善ではなく、数多ある価値観のうちのひとつでしかないということでもある。 念のために断っておくと、個人主義(Individuali…