声は、風より軽くて、銃声より遠くへ届く。 それを知ったのは、ほんの数分前のことだった。 放送を切ったあと、ドミノは古びた端末を握ったまま、しばらく動けなかった。指先が震えていたのは、寒さのせいじゃない。 「……やった、んだよね。これ」 自分の声で、世界に触れた。たった数秒。けれど、その数秒が胸を掻きむしる。 机の上には、昨夜の薄い水。埃だらけのラジオが、まだ微かに熱を持っている。 静寂。 それは懐かしく、そして底の見えない孤独だった。 その静けさの中で、ふと、耳の奥で声が蘇る。 ――声は刃にも盾にもなる。どちらに使う? ドミノは短く息を吐く。 「……どっちだろうね、サイラ」 問いに答えられない…