色づく与喜山 (よきやま)を眺めながら長谷寺へ向かう参道から少し外れる。 連歌橋を渡ると、初瀬川の細い流れが、遠い記憶をたぐり寄せるように谷間をなぞっている。 橋を渡れば、山の斜面は急に濃い緑をまとい、家々の屋根は影の中へ沈んでいく。道はかすかに上り坂になり、赤い欄干の向こうで空気がひんやりと肌に触れる。 素盞雄神社は、その奥の奥にひっそりと横たわっている。古くから人が住み、神が定住してきた土地の「深呼吸の場所」みたいなところだ。 実家のいちばん近くにあるのは八阪神社で、そこでもスサノオが祀られている。だから「素戔嗚」「須佐之男」「素盞雄」といった文字を街中で見つけると、反射的に足がそちらへ向…