カミュの短編集。 内容紹介。 『転落』は1956年の作品。『異邦人(1942年)』、『ペスト(1947年)』の後になります。最初は、酒場でくだを巻いている酔っ払いの戯言のようにも思えましたが、これが主人公のクラマンスで、彼のモノローグからなる小説です。クラマンスは自らのことを「裁き手にして改悛者」と名乗ります。これの意味するところが、本作のポイントでしょうか。 自らを善であると自認していたクラマンスは、少女の身投げを見て見ぬふりをしたことから自己嫌悪が生じ、偽善を発見した自分を正当化する(=他者を同格化する)ということでしょうか。最後にクラマンスは(物語の中の)聞き手の職業が自分の前職と同じく…