< 背徳感に浸りたいっていう かなりハイソな感じの しあわせ上手なんでしょかねえ > 札幌出身のムラさんは、中堅規模の会社に勤め続けて30年だそうで、焼酎バーのカウンターで3杯目か4杯目の生ビールから冷酒の1合徳利に切り替わった辺りになると誰に言うってわけでもなさそうな疲れ果てたトーンで独り言ち始めます。いつものパターンってやつです。 「社畜なんですよ、社畜。ね、最近そんことを言いだしましたよね。イヤな言葉ですね、社畜。でもそれなんですよボクなんかはね、典型的な社畜。言われるがままなんです」 女将さんが脇へスッと寄って、 「ムラさん、それ、もう2合目でしょ。もうそろそろ終わりにしましょうか。歩…