訓読 >>> 2492思ひにし余りにしかば鳰鳥(にほどり)のなづさひ来(こ)しを人(ひと)見けむかも 2493高山(たかやま)の嶺(みね)行くししの友を多(おほ)み袖(そで)振らず来(き)ぬ忘ると思ふな 2494大船(おほぶね)に真楫(まかぢ)しじ貫(ぬ)き漕(こ)ぐほともここだ恋ふるを年(とし)にあらば如何(いか)に 要旨 >>> 〈2492〉恋しさに思いあまり、川の中をカイツブリのようにびしょぬれになってやってきたが、人がそれを目にしただろうか。 〈2493〉高山の嶺づたいに群れて行くカモシカのように、連れ立っている人が多かったので袖を振らずにやって来たが、お前のことを忘れていたなどと思う…