訓読 >>> 2615敷栲(しきたへ)の枕(まくら)を巻きて妹(いも)と吾(あれ)と寝(ぬ)る夜(よ)はなくて年ぞ経(へ)にける 2616奥山の真木(まき)の板戸(いたど)を音(おと)速(はや)み妹があたりの霜の上(うへ)に宿(ね)ぬ 2617あしひきの山桜戸(やまさくらと)を開け置きて吾(あ)が待つ君を誰(た)れか留(とど)むる 2618月夜(つくよ)よみ妹(いも)に逢はむと直道(ただぢ)から吾(われ)は来(き)つれど夜ぞ更けにける 要旨 >>> 〈2615〉手枕を交わしてあの子と寝る機会がちっともないまま、いたずらに年が経ってしまった。 〈2616〉真木の板戸の鳴る音が激しくて入れないので…