小説家。福岡県で公務員をしている兼業作家。 1970年福岡県生まれ。熊本大学文学部史学科卒。 2004年、会社員の主人公が自分の住む舞坂町ととなり町とのあいだで起きた戦争に巻き込まれる様子を描いた「となり町戦争」で第17回小説すばる新人賞を受賞し、2005年第133回直木賞にもノミネートされる。
「子どもがうるさい」との住民の苦情により、子どもたちが利用する公園が廃止されることになったというニュースが話題を集めている。 廃止となったのは長野市にある青木島遊園地。市側は改善を続けたが、住民から騒音の訴えは変わらず、公園を利用する子どもはほとんどいなくなったようだ。公園には草刈りなどの維持費が必要だ。また、民間から借りている土地なので借地料もかかるので、利用者のいなくなった公園は廃止せざるを得ない状況に追い込まれていたのだ。 子どもの時に公園で散々遊んだ僕としては、子どもの遊び場を奪ってしまうのはどうかと思うが。 これは極端な事例だと思うが、苦情によって公園が姿を帰るというのはよくあること…
「世にも奇妙な物語」をご存知だろうか? 「恐怖系」、「コメディ系」、「感動系」 、「意味不明系」といった奇妙なテイストのオムニバスドラマだ。ストーリーテラーのタモリが印象的なフジテレビのご長寿シリーズである。 この記事では、「世にも奇妙な物語」に似たテイストの短編小説をストーリーテラーのタモリさん風に紹介したい。 あなたも小説を読んで奇妙な世界に迷い込んでみませんか? 『鼓笛隊の襲来』 / 三崎 亜記 『バスジャック』 / 三崎 亜記 『ニセモノの妻』 / 三崎 亜記 『ZOO』 / 乙一 『失われる物語』 / 乙一 『超・殺人事件』 / 東野 圭吾 『殺人出産』 / 村田 沙耶香 『パン屋再…
三崎亜記の「ゴール」は人生の意味や到達点について考えさせられるショートショートだ。 日常に非日常が溶け込んだような作品で世にも奇妙な物語のテイストのような小説だ。ちょっと不思議で、三崎亜記らしい作品だと思う。 この「ゴール」だが、高校の国語の教科書にも収録されている。教科書で言うと安部公房のようなシュールリアリズム枠での採用だろうか。 これまでは単行本などに未収録だったのだが、この度『名もなき本棚』と言う短編集に収録された。 この不思議な短編について考察・解説を書きたいと思う。 「ゴール」を目指す 「ゴール」を待つということ 実存は本質に先立つ 「ゴール」を目指す 主人公は「ゴール」に出会う。…
戦争の形は時代とともに移り変わる。 こんな時代だからこそ、現代作家が描いた戦争小説を紹介したい。 『となり町戦争』 / 三崎 亜記 『小隊』 / 砂川 文次 『わたしたちに許された特別な時間の終わり』 / 岡田 利規 『ヨハネスブルグの天使たち』 / 宮内 悠介 『指の骨』 / 高橋 弘希 『その日東京駅五時二十五分発』 / 西川 美和 『同志少女よ、敵を撃て』 / 逢坂 冬馬 『ベルリンは晴れているか』 / 深緑 野分 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 『となり町戦争』 / 三崎 亜記 となり町戦争 (集英社文庫) 作者:三…
2022年4月からセミリタイア生活に入り、時間が出来ましたので蔵書の小説を読み直してます。 今回は三崎亜記「となり町戦争」。 2005年発表作品。 となり町戦争 (集英社文庫) 作者:三崎亜記 集英社 Amazon 小説すばる新人賞を受賞した三崎亜記氏のデビュー作。 三崎亜記氏は1970年生まれで自分とほぼ同世代の作家さん。 氏が市役所在職中に書き上げた本作は、「見えない戦争」を描いた佳作です。 物語の主人公「僕」は住んでいる町の広報誌でとなり町との戦争が始まることを知ります。 戦争が始まったと言っても「僕」の生活に特段の変化はなく、人々も平穏な日常を送っているように見えます。 しかし町の広報…
皆さんは最近旅行できていますか? 時期が時期なので、なかなか旅行に行けていない人も多いはず。 そんな時はファンタジー小説を読んで、異世界旅行気分を味わってみるのはどうでしょう? 現実世界とはかけ離れた架空の世界を冒険すれば、気分転換になるはず。 そんな、不思議の国にGo To トラベルできるようなファンタジー小説を10冊集めてみた。 『不思議の国のアリス』 / ルイス・キャロル 『はてしない物語』 / ミヒャエル・エンデ 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 / 村上 春樹 『図書館奇譚』 / 村上 春樹 『七夜物語』 / 川上 弘美 『旅のラゴス』 / 筒井 康隆 『ブランケット・…
失われた町 (集英社文庫) 作者:三崎 亜記 集英社 Amazon 町が、失われる。。 ハッとした。 これは、本の中の世界ではない。 現実のこの世界で、町は、失われているではないか。 ロシアのウクライナ侵攻で ミャンマーの軍事クーデターで シリアの内戦で。。 考えてみると 自分の住むこの日本という国でも 町が失われ そして今、現在進行形で 失われようとしていることに、慄然とする。 太平洋戦争下の 広島、長崎への原爆投下 沖縄の上陸戦。。 東日本大震災、福島原発事故 地震や台風、豪雨などの自然災害 今なお続く、沖縄の基地問題。。 政治や行政が 人為的に町を失わせている場合さえある。 ダム建設のた…
玉磨き (幻冬舎文庫) 作者:三崎 亜記 幻冬舎 Amazon 本物の物語の力が、ここにはある。 三崎亜記、すごい。 子どもの頃に読んだ ちょっと怖かった童話や民話。 普段はすっかり忘れているのに 何かの瞬間、ふと、思い出すことがある。 この本は、そんな物語本である。 人間社会を上から見、下から見、 右からも左からも斜めからも見たら 忽然と浮かび上がってきた 不思議なのに それでいて、なぜか現実感を感じる6つ物語。 本を開いたその時から 本を閉じる最後の瞬間まで 徹頭徹尾、著者の世界が広がっている。 今の混沌とした社会を生きる大人のための童話だと思った。 きっと、これから先 グリム童話や遠野物…
せんそうせんそうせんそう。 遠く離れた地での戦争の様子はニュースや新聞やネット経由でしかわからず、 かといって、自分が住んでいる自治体主体の戦争がよくわかるかというとそうでもなく、 町が配る<広報◯◯>の片隅に【となり町との戦争〜開戦日:九月一日】というお知らせがあったとしても、それはどこの町でも通常よくある工事や断水やワクチン接種などと同じように開戦日を迎えても、町はいつもどおり静かで、爆撃も銃撃も避難も、そんな緊急時のかけらもない。 ただ、定期的に配られる<広報◯◯>の【町勢概況】の死亡欄には、カッコ書きで戦死者の数が加算されていく。 戦争の姿は眼には見えないけれど、となり町との戦争は確実…
となり町戦争 (集英社文庫) 作者:三崎亜記 集英社 Amazon すごい本を読んだ。 ある日、となり町との戦争が始まる。 何のための戦争なのか 誰のための戦争なのか この物語では、なにも語られない。 この本の中にあるのは 戦争で 傷つき、亡くなり 自由を奪われ 意志をひた隠し 思い通りに生きることができない ひとびと。。 物語の「戦争」を 人間の身体を精神をむしばむ 現代社会のさまざまなシステムに置き換える。 政治、行政、経済、雇用、原発、学校、家族、、、 あっ、そうだと気づく。 この小説は、 デヴィッド・グレーバーのブルシット・ジョブであり 東大の安冨歩教授の言う、立場主義であり、東大話法…
最近、イマーシブというキーワードがエンタメを賑わせている。 イマーシブ(immersive)とは、没入感を意味する言葉で日本でも流行りつつある。 現実にいながら物語や芸術の世界に入り込むイマーシブエンタメが大流行中である。 日本だと、印象派やポスト印象派の絵画に入り込む体験ができる「イマーシブミュージアム」やイマーシブシアターなどがある。かわりどころだと、話題になった「友達がやってるカフェ」もある種のイマーシブ体験かもしれない。他にも「Syn : 身体感覚の新たな地平」などがある。また、没入型エンタメ施設として「イマーシブ・フォート東京」がお台場にオープンするという話もある。 エンタメではイマ…
おもしろい小説を読みたい! というわけで、歴代の「本屋大賞」受賞作品とランキング作品をすべてまとめた。表紙画像クリックでAmazonへ、あらすじやレビューも確認できるのでご参考まで。 それではいってみよう! 2023年 本屋大賞『汝、星のごとく』凪良ゆう 風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。 汝、星のごとく作者:凪良ゆう講談社Amazon 2023年 ノミネート作品(2位~10位) 『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒 『光のとこにいてね』文藝…
1300 yen @ チネチッタ9, J -8, 18:35, ★★★(3/5), 2023-052 「アリスとテレスのまぼろし工場」見た。世界観が三崎亜記の小説に出てきそうな感じ。— Gust Notch? (@gust_notch) 2023年9月16日
タイトル 博多さっぱそうらん記 著者 三崎 亜記 発行所 角川書店 初版発行日 2021年11月30日 定価 1,600円+税 ジャンル 小説 あらすじ 福岡と博多の、市の命名を巡る論争から130年。 土地神や大仏も巻き込んだ、大騒動が勃発! 感想 福岡?博多? の地理や風土を知らなくても楽しめました
2022年4月からセミリタイア生活に入り時間が出来ましたので、蔵書の小説を読み直しております。 今回は三崎亜記「失われた町」。 2006年発表作品。 失われた町 (集英社文庫) 作者:三崎亜記 集英社 Amazon 三崎亜記は自分と同世代の作家さん。 風刺的なSF・ファンタジー小説を得意としている方かと。 本作の舞台は日本を彷彿とさせるものの日本とは異なる世界。 そこは三十年ごとに一つの町の住人全てが忽然と姿を消してしまう「消滅」現象が起きる世界。 物語はその「消滅」を防ぐために存在する組織「管理局」を中心に、「消滅」に関わる人々の苦悩・苦闘を紡ぎ出して行きます。 果たして人々は長年に渡り続く…
三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)作者:庄司 創講談社Amazon 新しいSF漫画の描き手として、アフタヌーン四季大賞受賞と同時に熱い注目を集めてきた庄司創の短編集。遺伝子デザインが施された人類が暮らす社会を扱ったデビュー作『三文未来の家庭訪問』、宇宙人が用意した「人生完結センター」におけるヒューマンドラマ『辺獄にて』、古代生物をモチーフに信仰と社会を問う『パンサラッサ連れ行く』を収録。練り込まれたストーリーとセンスオブワンダーが、心をたまらなく刺激する! 結構難しい話だったな。 SFとしてハードなわけじゃないけど、 思弁的にハードって感じだったな。 がっつり宗教や哲学を扱ったような「パ…
【要約】(約200字) 人の価値観はそれぞれ異なるが、一体何を残すべきで、なには失われていいと判断するのだろうか。東京駅は戦後、建設当初の姿とは違った「仮の姿」に再建されたが、後に建設当初の姿へ復元された。しかし戦後の再建は、人々が慣れ親しんだ姿であり、日本の復興を証言する姿でもある。果たしてどちらが「本当の姿」であり「残すべき」なのだろうか。失われるものは多くあるが、我々にできることは失われたものを語り継いでいくことだろう。(203字) 【ポイント】 建設当初:東京の玄関に相応しい重厚さ 本来の姿 約30年間 戦後再建:人々が慣れ親しんでいる 日本の復興の生き証人 約60年間 人によって価値…
ことはです 月初1回目の更新は、前月の読書・鑑賞記録を感想を交えながらまとめていきます 先月、2023.04月は 読了 3冊 鑑賞作品 1作品 なんというか、平均的に3冊/月が今の限界、なのかも…? 少しずつ積読を消化するために増やさねば、読書時間 先月読了本の内訳は物語(小説)1冊、新書2冊 小説はTwitterやSpoonのLIVEなどでも何度か感想を述べていた 三崎亜記先生の『名もなき本棚』 超短編な三崎ワールドの盛り合わせ・詰め合わせで もう頭の中では世にも奇妙な物語のテーマが流れちゃうし 以前NHKドラマでやっていた星新一劇場みたいなショートドラマ化して欲しくなる1冊 新書は積読解消…
『半分世界』石川宗生(東京創元社) 『Cloven World and Other Stories』2018年。 第7回創元SF短編賞受賞作を含む四篇収録。ワンアイデアを提示してその設定をひたすら詳細に書き連ねるだけで、アイデアからの発展は何一つありません。出オチをどこまで引っ張れるかに特化したような作品でした。奇想を淡々と記しているのは三崎亜記作品を連想しますが、あちらよりもさらに無味乾燥です。 「吉田同名」(19329 Daisuke Yoshida,2016)★★☆☆☆ ――吉田小夜子夫人が夕食の支度をしていると、突如、凄まじい轟音が響いた。恐る恐る廊下に顔を出すと、玄関扉に五人ばかりの…
ことはです 前回に引き続き振り返ってみますよー 《高校生》 中学時代の人間関係で疲れてしまい、人がたくさんいる部活に入るのが怖くて「図書部」に入部(図書委員会はなかった!)したものの、高校見学の時にいた先輩たちは入れ替わりで卒業してしまっていて、一人部長で活動することに… 統廃合直前だったため廃部を免れたけど、後身校からは図書委員会が設立されることとなり後輩はできず、本当に顧問の先生と図書館の司書さんと私の3人だけだからできる活動も限られてしまったけど、本好きな友人たちや手伝ってくれる優しい親友たちのおかげで三年間無事に部活動として活動することができました 入部してすぐの夏、図書部・図書委員の…
こんにちは。冨樫純です。 独学で、社会学を学んでいます。 そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。 タイトル 動物園をプロデュースする 偽装事件はもちろんわたしたちの安全を脅かすわけですが、ただこの種の事件が明らかにしたことは、何が正しくて何が正しくないかは、素人目には判断がつかないということです。 正・不正の境界があいまいで不確定になってきたといえるでしょう。 あるいはもともと不確定なものだと言っても過言ではないでしょう。 見る側と見られる(演出する)側のシールド(保護膜)の問題について、三崎亜記さんが書いた『動物園」という面白い小説があります。 近年、…
▼ウクライナ戦争の200日(文春新書)/小泉 悠 ▼羊をめぐる冒険(上・下)(講談社文庫)/村上春樹 ▽マレー蘭印紀行(中公文庫)/金子光晴 ▽語学の天才まで1億光年/高野秀行 ▼マイ・ブロークン・マリコ(Kindle版)/平庫ワカ 「もういない人に会うには、自分が生きているしかない」▽「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済(光文社新書)/小川さやか ▼ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2/ブレイディみかこ ▽中国畸人伝/陳舜臣 「あたしは、あなたの夢の物差しだったのね」◆南京の基督/芥川龍之介(青空文庫) 芥川龍之介の『南京の基督』という短編を再読した。これを初めて読んだ…
久々の三崎亜紀さんである。この人の描く「異世界ファンタジー」はあまり好きではなく「日常の中に異様な違和感(しかもでかめ)が1つ」みたいな日常の延長線ファンタジーが好きです。というわけで今回ビンゴ、今年32作目。短編集 名もなき本棚 三崎亜紀 著 名もなき本棚 (集英社文庫(日本)) [ 三崎 亜記 ]価格:638円(税込、送料無料) (2022/12/28時点) 楽天で購入 です。 あーこれこれ。 あーこの他にない感じ。 スノードームと、Book Day が好きだった。 解説にもあるけれど、ものすごく「変」なことがあるのに、それを許容してしまっている世界と人々、というところから話が始まる、とい…
21年度の出版物販売額、1兆4473億円(前年比1.0%減)に https://www.shinbunka.co.jp/news2022/12/221212-05.htm 書店ゼロ、市町村の26%に 10年で3割減、経営難も https://nordot.app/973508454362382336 書店議連「中間とりまとめ」発表、来春の最終報告に向け競争環境の是正など検討 https://www.shinbunka.co.jp/news2022/12/221209-02.htm 「草津町長からの性被害」訴えた電子書籍、著者が「誤報」認める 町長に謝罪、販売打ち切り https://news.…