1958年生まれ。ライター。郊外文化研究者。 一橋大学社会学部卒業。大学院進学を目指すが、失敗。パルコ入社後は、現代の宗教は消費である、だから消費の研究は宗教社会学と同じと気づき、マーケティング雑誌編集に邁進。31歳で転職。しかし30代はほぼ子育てに専念。仕事は適当にしていた。ただし青少年向けの職業情報体験施設の計画づくりには情熱を持って5年間従事。やはり若者というテーマが好きらしい。40歳で独立。消費社会を考えるシンクタンク「カルチャースタディーズ研究所」を主宰。
生活満足度が上昇しているのに若者の自殺が増加する矛盾 三浦展氏の『大下流国家 「オワコン日本」の現在地』(光文社、2021年)を読んでいた。著者は世代や消費社会などの研究を踏まえて時代を予測し、新しい社会デザインを提案している評論家である。三浦氏は日経新聞が2021年3月3日に投稿した北川和徳氏のコラム『森氏の失言と日本の停滞』の中で、国際体操連盟の渡辺守成会長がアフリカのある国でソニー(SONY)の携帯電話を使っていたら、子供たちがロゴを見て「ソノイは中国のメーカーか韓国のメーカーか」と尋ねてきた話を紹介して「どうやら日本がオワコン(終わったコンテンツ)化しつつある」と述べている。 本書の中…
読んだ本 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 久しぶりに良書だと思える本に出会えた。 個人的に良書というのは以下の条件を満たすものである。 ・読んでいて面白いと思わせるものがある ・新しい発見がある ・難し過ぎず、易しすぎない ・途中のページから読んでも理解できるような構成 など この条件を本書は完璧に満たしている。 本書は書評に半分ほどのページが割かれていて、残りは現代社会についてインタビュー形式で語られていく構成となっている。 また、…
家庭と言えば夫婦とその子供から構成されている。いわば核家族と呼ばれているものがその中心である。少し前まではそんなイメージでした。 現在はそれが変わってしまっているようです。統計調査の結果では、すでに一人暮らし「おひとりさま」の世帯がはるかに多いようです。それが2035年では、夫婦と子供の世帯数が1153万世帯、一人暮らしの世帯数は1846万世帯になると予想されています。 「おひとりさま」は特別な状況ではなく、むしろ「おひとりさま」は主流の生き方のようですね。 一人暮らしとなる理由は未婚、死別、離別など様々ですが、今後、一人暮しをする人たちの数は比率的に増え続けるとのこと。 この本を読んで勉強に…
公開にあたって 本書は、2014年に刊行した同人誌『「ヤンキー」論の奇妙な位相:平成日本若者論史9』のまえがき及び第1章として書いたものです。同書は第2章を含めた全文が『「働き方」と「生き方」を問う』、またこの記事で公開した部分が『「劣化言説の時代」のメディアと論客』に収録されております。 特にサブカルチャー左派、左派”オタク”において、「ヤンキー」論と自民党・日本維新の会への支持を無理矢理結びつけた議論が目立ちます。その議論の差別性を今一度見直してほしいと思っています。 kazugoto.booth.pm bookwalker.jp www.dlsite.com techbookfest.o…
吉川さんが見せてくださった分譲地の新聞広告(どんなインチキ広告かは「#17 「健康を保証する緑の高台」「お子様の成長とともに鯉のぼりのごとく値上がりする土地」…「分譲地インチキ広告」を吉川祐介さんと一緒に味わう/『限界ニュータウン』著者・吉川祐介さん、いらっしゃい(3 / 全11回)」、これを調べる作業の狂気については「#16「新聞縮刷版」を調べるのに発狂寸前……/『限界ニュータウン』著者・吉川祐介さん、いらっしゃい 2回目」をお読みください!)を眺めながら、あらためて感嘆する松原隆一郎會長。 會長 吉川さんはよくここまで調べていらっしゃる…。学者のようです。 吉川 他に手段がなかったので(笑…
1982年4月19日付『朝日新聞』の記事「文化も売ります百貨店 講座やら美術館やら」では、西武百貨店の池袋コミュニティ・カレッジや同じく池袋店の西武美術館などが紹介されています。そして、当時の西武百貨店社長・坂倉芳明は、「『文化』が事業として成り立つ基盤がみえてきた」と語っています。余計なことですが、同記事には三越百貨店社長の岡田茂も登場。岡田はその2年後、取締役会で「なぜだ!」と叫びつつ社長を解任され、さらに三越社長の座に坂倉が就いたり……の波乱万丈がありました。ちなみに坂倉は、三越において岡田との社長争いに敗れたところを、西武流通(セゾン)グループ総帥の堤清二に乞われて西武百貨店入りしまし…
吉川祐介さんに「限界ニュータウン」新聞広告を見せていただく松原隆一郎會長 「無公害」がセールスポイントになった70年代 吉川 この広告は、どんなことを売りにして販売してたか、とか見ていくとおもしろいです。今みたいに立地のみじゃなくて「無公害住宅地」とかを売りにしてるんですね。 私が調べているエリアからちょっと離れるんですけど、わかりやすい広告の一例としてこれを見てください。1970年ですね。 「将来性備えた無公害住宅地」「健康を保証する緑の高台」1970年9月16日読売新聞掲載広告。 會長 まだ高度成長期の雰囲気だね。 かつて、ニュータウンの出現を「夢の時代」と言ったけど、 じゃ夢って何ですか…
10代の人工妊娠中絶率の減少まで草食系男子のせいにする岩室紳也氏 2023年8月15日に発表された同年4~6月期のGDP成長率は物価の変動を除いた実質が年率プラス6.0%、物価の変動を含めた名目が年率プラス12.0%だった。名目GDP成長率が年率プラス10%以上の高い数値を記録するのは2020年7~9月期以来のことである。 しかし、家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は実質が年率マイナス2.6%、名目が年率マイナス0.9%と個人消費は逆にマイナスとなってしまった。他の項目を見ると、名目民間企業設備投資が年率プラス3.2%、名目民間住宅投資が年率プラス6.5%、名目公的固定資本形成が年率プラス8.…
親ガチャという言葉がある。親ガチャに外れたなどと表現されるように、親の居住地域や所得階層で子供の学力や将来の選択肢、あるいは人生そのものが決まってしまっているという感覚に裏打ちされた概念である。この概念は肌感覚ではとてもよくわかる。地方に旅行に行くと、車窓からはドライブスルーのファーストフードと中古自動車販売店、GEOしか見えてこない。かつて三浦展がファスト風土と形容したそれは、いまでも地方都市ー郊外のリアルを如実に反映しているといってよい。「旅行で」と記したように、僕は首都圏近郊に住んでいる。東京駅まで電車で1時間半程度だろうか。高校の頃はとても遠いと感じていたが、年齢を重ねた今では大した距…
下流社会 第3章~オヤジ系女子の時代~ (光文社新書) 作者:三浦 展 光文社 Amazon 三浦展さんの人気シリーズ『下流社会』の第三弾という位置づけなのですが、正編、第2章と打って変わって「オヤジ系女子」を取り上げているので、なぜ『下流社会』シリーズの一環として位置づけるのか理解に苦しみますが、人気シリーズを持つ作者の常で、何匹目かのドジョウを狙う編集者に押し切られたということなのでしょうか…この本の出版は12年前の2011年なのですが、ジェンダー論についてのコンプライアンスがキビシい現在だったらあり得ないタイトル付けかも知れません。 この頃から徐々に男性に媚びようとしない女性が存在感を増…
表現者クライテリオン 2023年7月号 [雑誌]ビジネス社Amazon 『表現者クライテリオン』の最新号(2023年7月号)が発売になりました! 最近話題になった本に、稲田豊史氏の『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 』(光文社新書)という本がありますが、まさに、稲田氏が描いているように、最近の日本の状況——特に流行に弱い若者の心性——は、まさに「コスパ」と「タイパ」の観念に支配されているかのように見えます。それは、コロナ以降特に酷くなっている感覚もありますが、だとすれば、この「大衆化」現象=ニヒリズムに適切に抵抗しておく必要があるでしょう。ということで…
2022年の読書メーター読んだ本の数:219読んだページ数:54736ナイス数:1323そばもん 1 (ビッグコミックス)の感想蕎麦屋にあった漫画本。面白かった読了日:12月17日 著者:山本 おさむ青空のむこうの感想すごく切ないけど明るいお話。後悔のないように生きていこうと思わされる。 小学校高学年から中学生におすすめしたい。読了日:12月15日 著者:アレックス・シアラーお一人さま逃亡温泉 〜身も心も浄化する旅! (ビジュアルガイドシリーズ)の感想泊まりがけで温泉に行きたくなる読了日:11月05日 著者:加藤亜由子日本とは何か 日本の歴史〈00〉の感想ヤマト朝廷に遡る日本の成り立ちと拡大に…
(2009年12月にコミックマーケットにて頒布された第二次惑星開発委員会「ゼロ年代のすべて」収録のコラムを微修正して掲載しています) 「若者は東京に憧れず、地元でまったり過ごすようになった」近年よくメディア上で語られる言説である。 しかしその「地元指向」は果たして、女子にとって「まったり」できる安住の地として、選んだ結果なのだろうか? 近年、地方都市の「普通の女の子」をモデルに起用した『新潟美少女図鑑』というフォトブック形式のフリーペーパーが話題を呼んでいる。 「東京の雑誌」と遜色しないという誌面クオリティが魅力で、新潟から全国へ飛び火し、全国の編プロやヘアサロン等とフランチャイズ契約を結び、…
www.youtube.com 昨日、室伏さんと出てきたfrontJapan桜の動画です。 次号の『表現者クライテリオン』は、「進化する“コスパ”至上主義――タイパ管理された家畜たち」を特集しているのですが、その特集座談会にお呼びした三浦展さん絡みのネタとなっています。題して「『ファスト風土化』の病理を考える」。雑誌の特集は「コスパ」(コストパフォーマンス)と「タイパ」(タイムパフォーマンス)が蔓延する現代社会批判を企図したものですが、frontJapanでは、その一つの現象として2000年代から急激に広がった「ファスト風土」の問題を取り上げています。ご興味身があれば、是非。 www.yout…
毎週日曜日は、この一週間に週刊誌などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPをご覧ください。 今週の書評本 表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者 出版社 税込価格 書評掲載回数(2回以上のもの) ◆週刊朝日 (特集記事により書評は休載) ◆サンデー毎日 (今週号は休刊) ◆女性自身「今週の本」: 6/6 号 4 冊水車小屋のネネ 津村記久子 毎日新聞出版 1,980 ⑤どなたでもどうぞ! バレンタインさんのホテルのおはなし サム・シャーランド ビーエル出版 1,760Another side of 辻村深月 辻村深月 KADOKAW…
ランキング参加中読書国難のインテリジェンス (新潮新書)作者:佐藤 優新潮社Amazon Kindle版もあります。国難のインテリジェンス(新潮新書)作者:佐藤優新潮社Amazon 人口減少、災害対策、DXの発展、医療財政、教育システム、宗教法人、皇室の存続、 ――日本は長い間、解決すべき問題を抱え続けてきてしまった。 世界が再び混迷の時代に突入する中、それらは「時限爆弾」として我が国を脅かす。 本書では各分野を代表する十四人のプロフェッショナルと本気で語り合い、 日本の、そして個人の生存戦略を考える。問題を解決する時間はもはや残されていないのだ。 (目次)はじめに新井紀子 DXで仕事がなくな…
同僚の赤江達也さんより。聖書の翻訳の主体が、宣教(者)から研究(者)へと移る経緯が興味深い。他にも打樋さん、ベネディクトさんなども執筆。ベネディクトさんの「スピリチュアル」言説の分析、チャプレンでありつつ社会学者的であり、これもなかなか。 自身は、どこまでいっても俗人でしかないが、さすがに27年もミッション系大学に勤めていると、キリスト教の楽しみ方がちょっとはわかる気もする。 三浦展編『再考 ファスト風土化する日本』光文社新書、2023 奥さんの実家が24号線付近なので、関西のファスト風土の事例として出てくるのはわかるが、大和西大寺駅を「平安京」近く、というのはいかがのものか。