5回目の移植で初めての陽性判定をもらった田熊はしかしお腹の中でたまごが着床している感覚がないのと、それまで長いあいだ陰性しか経験してこなかったため、いざ陽性を告げられると感動や嬉しい感情などはすぐにはわいてきませんでした。 それどころか、ここまで陰性を繰り返している田熊を哀れんで、ついに塩先生が陽性と嘘をついたのではないかと少し疑いました。 (絶対そんなことはなく、完全に田熊の妄想です) そんな疑いを抱いているとは塩先生に言えるはずもなく、全く実感のないままお会計を済ませて帰りの電車に乗りました。 家の最寄り駅にはおっくんが車で迎えにきてくれていました。 車で待っているおっくんを視界にとらえた…