松久家の兄弟(1)目覚めた蛇と眠れる亀 誰が描いたか不明だが素晴らしい玄武 松久兄弟は趣味が似ていて、兄の松久義也は、東京大学工学部の卒業論文で中島敦の「李陵」を、論文の中休みの話題に取り上げた。その数年後、弟の松久賢二は東京経済大学の卒業論文でやはり中島敦の「弟子」をメインテーマにした。「李陵」と「弟子」は、日本最高の小説家中島敦の最晩年の2大傑作であり、義也にとっても賢二にとっても取り上げる必然性の大きな2作品だった。最近、2人でこれらを評価すると、「李陵」は「戦争」がメインテーマ、「弟子」 は「教育」がメインテーマだ。「李陵」の作品世界では、主人公司馬遷は命がけの戦争を戦い抜き、「弟子」…