励起 上巻(24-23)に続く下巻。上巻の感想文に書いていたように、上巻は仁科にとって幸せな時代であり、下巻は戦争に突入していく悲しい物語になる。実のところ、読了してからかなりのタイムラグがある。感想文にまとめるのも辛い気持ちになっていたからだ。 気になる箇所を挙げつつ、整理したい。なお、()内のページ数は上巻からの続きである。 仁科研ではサイクロトロンが稼働した直後から、二つの方向で生物学・医学研究が進められるようになった。一つは、中性子が生物に与える効果についての研究であり、もう一つはサイクロトロンによって生成されたラジオアイソトープを用いた研究、とくにトレーサー実験である。(567) サ…