日本の仏教史を俯瞰すると、権力によって保護されたり利用されたり迫害されたりと権力に翻弄された歴史に思えます。そんな日本仏教が一番の危機に晒されたのは、明治時代の【廃仏毀釈】だったのではないでしょうか。廃仏毀釈とは、慶応四年から明治元年までの神仏分離令といわれる一連の布告による「神」と「仏」の分離政策を為政者や市民が拡大解釈し、仏教の施設や慣習を破壊したことをいい、現在でも首を刎ねられた地蔵が残っていたり葬儀を神式で行ったりと当時の名残りが残る地域があります。各地で廃仏毀釈は行われましたが、特に厳しかった地域として水戸・佐渡・苗木(岐阜)・伊勢・土佐・隠岐・宮崎・鹿児島が挙げられます。水戸藩は水…