「今日も特に何もなかったなぁ」 仕事終わりの帰り道、そんな風に思う日があります。特別うれしいことがあったわけでも、泣きたくなるようなことがあったわけでもなく、ただ一日が過ぎていく。そういう日は、一見なんだかつまらなく思えることもあるかもしれません。 でも私は最近、そんな「何もなかった日こそ、実はかけがえのない日なんだ」と、介護士という仕事を通して、少しずつ感じるようになりました。 私は老人ホームで働いています。入居されている方の多くは、病気や障がい、年齢的な衰えによって、日常生活の一部、あるいはほとんどを誰かに支えてもらう必要があります。 食事、排泄、入浴、着替え、移動……日常のあらゆる場面に…