ヒュー・トレヴァー=ローパーの家で二人の音楽を内輪で鑑賞する夕べがあって、ロシアの「外交官」たちを体よく他の大学行事に追いやったバーリンは、ショスタコーヴィチをそこへ連れてゆく。最初に彼のチェロ・ソナタが演奏されたあと、作曲家はチェリストが二か所間違えて弾いたと言い、楽譜がピアティゴルスキー(有名なチェリスト)の手で改変されているのを見て、怒って鉛筆で訂正を書き込むが、それ以外は部屋の片隅にハリネズミのように引っ込んでいる。それからプーランクの歌曲とチェロ・ソナタが演奏されたあと、バーリンの求めに応じてショスタコーヴィチ自身が《プレリュードとフーガ》を弾いたら、作品も演奏もあまりに深く偉大だっ…