最近の新聞記事に“文学作品を題材にした文学模擬裁判として、仮想空間の中で高校生が法廷闘争をするメタバース法廷が完成した”とあり、驚いてしまった。今回取り上げられている教材は、芥川龍之介の「羅生門」である。羅生門の楼上で被害者の女性に、太刀を突きつけて着物(1600円相当)を奪い取った事件に関して、弁護側と検察側とがそれぞれ理由、罪状を述べ、最後には裁判官が判決を言い渡す、という流れになっている。反対尋問をしたある高校生は、「言葉の伝え方次第で、有罪色が強かった裁判を無罪にできる楽しさがあった」と語っている。この文学模擬裁判は、某大学の教授が考案したとのことだが、「文学も裁判も言葉の世界。文学を…