制度設計

時間の価値を測る最新研究 第5章：制度導入の留意点と未来展望 ① 制度導入の心理的抵抗とその克服 「監視されている感覚」のリスク タイムトラッキングツールや行動データを用いた評価制度は、その導入目的がいかに善意であっても、従業員側に「監視されている」という印象を与えてしまうリスクがあります。 これは、信頼関係を損なう最大の要因のひとつです。 とくに、「成果だけでなく行動もすべて見られている」と感じることで、社員が自己防衛的に振る舞い、創造性や自律性が損なわれる可能性があります。 実際、過去にある外資系企業が導入した「タイムログ義務化」制度では、社員の満足度が下がり、離職率が短期的に増加するとい…

時間の価値を測る最新研究 はじめに 私たちは毎日、時間という資源を使って意思決定を行います。 ところが、同じ１時間でも「仕事に使うとき」と「余暇に使うとき」では感じる重みがまったく異なります。 経済学では古くから「機会費用」という考え方で時間の価値を金銭換算してきましたが、行動経済学の発展により、人は必ずしも合理的に時間を評価できないことが明らかになってきました。 時間選好と現在バイアス 行動経済学の代表的概念である「現在バイアス」は、将来よりも現在を過大評価する傾向です。 具体的には、将来１万円を受け取るよりも、いま９千円を受け取る方を選びやすいといった非合理的決定を指します。 2024年1…

専門職 2010年４月の定期人事異動にあたり、上司の常務取締役管理本部長から呼び出され、人事課長を外れて人事課付きの専門職を命じられました。 人事課長を２年間やってきたのですが、管理本部長からさまざまな企画テーマを命じられていながら、まったく対応できず、その度に実務が忙しくて手が回らない、と言い訳していました。じゃあ企画に専念できる環境つくるので、もう実務が忙しくてとは言わせない、ということでの企画担当の専門職アサインでした。 人事課の中でも企画担当は店主とこの１年前に中途で採用した日本能率協会の元営業マンの30代男性の２人体制です。制度設計支援や研修などを営業マンの立場から支援してきたとはい…

皆さま、こんにちは。 やっと先日、 仕事がひと段落を付けましたので( ´ー｀)ﾌｩｰ．．． 懸案（？）だったインボイス登録申請を 今日午前中 税務署に出向いて やって来ました。 取引業者様から アンケート等で 私が今後どうするのか？ 聞かれていましたので 登録申請をし これで晴れて 円滑な企業取引が 今後も出来そうです。 消費税に関して言えば 払う事に対する抵抗は今のところありませんが 集めた消費税をどの様に使うかは 問題が多いと感じています。 社会制度自体が 時代にそぐわない状況です。 制度設計を変え これから未来ある人たちが ちゃんと生活出来るような 制度にする事が大事であり 政治がその役…

2016年調査における総務省の経済センサスによると、日本には法人企業188万社、個人経営198万事業主があり、合わせて386万企業が存在しています。 その内の0.3%が大企業で、残り99.7%が中小企業です。 その後に起きたコロナ禍で、数字の変化はあるでしょうが、いずれにしろ日本では中小企業が圧倒的多数であることに変わりはありません。 私がコンサルティングに携わる中で、また自身の人生経験の中で出会った企業（法人・個人事業主）の中で、成長拡大する企業には、いくつかの共通点があります。 まず第一に、揺らぐことのない企業理念、経営理念があり、かつそれが社内に浸透していること。 第二に、制度設計にしっ…

制度設計の限界 コンサル会社をやろうとしている立場でいうのもなんなのだが、人事という仕事には正解はない。それはほかの職種でも同じようなものだと思うが、人事の領域は「人」を対象にするので、とくにその傾向が顕著な気がしている。 制度設計をする際は、まず会社の最上位方針である経営理念から、ありたき人材像や社員に期待する行動などを具体化し、そのような人材像や行動を動機付けするように設計をしていく。設計思想や制度思想と呼ばれるものである。 この思想の段階では、この内容に異議をとなえる社員はほとんどいない。このような抽象度の高いレベルでは、総論賛成ということになるのである。 運用の大切さ しかし、制度が展…

昨年この話が決まった頃には呆れた。非課税世帯では7万円給付して、課税世帯では1人あたり4万円（うち所得税3万円）還付する。扶養家族が多いと減税インパクトが大きいのはいいこと。でも、全員給付した方が事務手続きとしてよっぽどシンプルでラクなのに面倒な仕組みだな、と思った程度だった。 ＜2023年の中日新聞より＞ ※以前にもアイキャッチで使用 ただ、いざ6月給与で還付する時期になると思わぬ問題点も見えてきた。最近のニュース報道も踏まえて問題点を洗ってみた。 （１）6月給与明細に減税の恩恵金額を明示 給与明細に「所得税＝0、住民税＝0」と印字するだけでなく、減税インパクトを明示する必要があるのだとか。…