彼女は心が乱れていた。恋をするのはこれが初めてではないのに、彼に対する自分自身の気持ちがどうも分からない。恋しさと憎さが交差する。信じたいのに信じられない。心を開きたいのに開けない。 日常を離れ、自然の中を歩きながら答えを見つけようと、一人で出かける。鬱蒼とした森の道を歩き、 川沿いを歩いて、 岩に腰を下ろして自分の声に耳を傾ける。 その時、2つの鮮やかなオレンジ色の花が目に付いた。 どちらの花も初めて目にした彼女は、花の名前も花言葉も知らない。 それでも、彼女は自分の運命をどちらかの花に託すことにする。しばらく見比べて、彼女が選んだのは2番目に見た花(ヤブカンゾウ)だ。野山で花を採取して持ち…