千早茜 「グリフィスの傷」千早さんの新刊が出ていたので買ってみました。 傷痕をテーマにした短編集となります。内容は体や心に傷痕を持つ人とその周囲の者たちがその傷をどう考えるかを各章で描写しているというものです。大きな傷跡ができたことでいじめから脱した人、誹謗中傷を送った相手からリストカットした写真を送り返された女性、など傷を負った本人だけでなく負わせた人、傷痕を見てしまった人など視点になる人物の立場も様々な内容となっています。本作の見所は心理描写の綺麗さにあります。傷から立ち直るというオーソドックスな描写だけでなく傷を負ったことで気づけたことや得たこともあるという様々な面からの描写が丁寧に描か…