4月の中旬、京都市の北部を占める京北(けいほく)地区に桜を見に出かけた。京都の街の方では見頃を過ぎた所が多くなった中、北の方で標高も高い山間の京北なら、まだ見頃の桜も多いかと思ったからだ。案の定、まだ綺麗な桜をたくさん見ることができた。とりわけ、京都祇園・円山公園の有名な枝垂れ桜の子桜だという桜は見事だった。著名な桜守が民家の庭先に移植したという。 この京北の地は、京都の街との関わりのある物事に事欠かない。昔から関係が深い。しかし、いにしえよりずっと、ここは「京都」ではなかった。京都の街は畿内(言わば古代の首都圏)の山城国にあるが、ここは、畿外、丹波国の北桑田郡だった。2005年、いわゆる平成…