おそらく、私に語学の才能はない。小学生の頃は国語で零点を取ったし、学生時代は一貫して英語の点数が低かった。ドイツ語もいまだにものになっていない。日本語、なかんずく、古文も言語の一種に違いないから、これも例外ではない。知識と情熱のある良い先生に付いたが、芽が出なかった。私が本格的に言語に関心を持ったのは、すべての学業を終えた後である。 短歌を書き始めたことが大きい。学生の頃から詩(自由詩)には親しんでいたけど、実作において、私はなぜか短歌という、2011年の当時としてはややマイナーな短詩型を選んだ。文芸に限らず、流行モードというものは景気変動のようなもので、短歌は10~30年のスパンで大きな流行…