作家・早稲田大学教授(創作) 1964年岐阜生まれ。 90年代にパリ留学後、明大に。 95年『郊外へ』でデビュー。 『おぱらばん』で三島由紀夫賞、「熊の敷石」で芥川賞、「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、『雪沼とその周辺』で木山捷平文学賞、谷崎潤一郎賞、『河岸忘日抄』で読売文学賞。
いつか王子駅で
河岸忘日抄
雪沼とその周辺
郊外へ (白水Uブックス―エッセイの小径)
おぱらばん
子午線を求めて
熊の敷石
ゼラニウム
書かれる手
回送電車
本の音
魔法の石板―ジョルジュ・ペロスの方へ
一階でも二階でもない夜―回送電車〈2〉
もののはずみ
赤い帽子の男
踏みはずし (白水uブックス―海外小説の誘惑)
幻のイマージュ
パリの廃墟
八月の日曜日
昨日だったか一昨日だったか、、ちょっと衝撃を受けたX(旧Twitter)を見かけたんですよ話題になってるから、ご存知の方もいらっしゃるかもイトーヨーカドー津田沼店閉店に寄せて、「習志野の歴史を語る会」の展示の中にイトーヨーカドーとの出会いで人生を救われた方のメッセージがありましてこれが、プロレタリア文学だ!と話題になっているんですよそのX(旧Twitter)はこちら↓ ヨーカドー津田沼閉店に寄せてのこの寄稿エッセイ、良すぎるな… pic.twitter.com/ZbF18tD98n — polyfusia suguru (@polyfusia) 2024年9月29日 本当に名文。隅々、細部に至…
物物 集 猪熊弦一郎 / 猪熊 弦一郎, ホンマ タカシ, 岡尾 美代子, / BOOK PEAK / 2012 1版 / Softcover / 225mm x 158mm / 224P は「本まるさんかくしかく」で販売中です。 hon034.stores.jp 画家・猪熊弦一郎が集めたいろんな「物」をスタイリスト・岡尾美代子が選んで、写真家・ホンマタカシが撮りました。」 ステキですねェ。自身のいろんなモノとおこがましくも、比較したりして…。
回送電車 (中公文庫 ほ 16-1) 作者:堀江 敏幸 中央公論新社 Amazon f.2024/6/27p.2008/6/23 評論とエッセイ、小説。その「はざま」にある何かを求め、文学の諸領域を軽やかに横断する――著者の本領が発揮された、軽やかでゆるやかな散文集。 堀江 敏幸1964(昭和39)年、岐阜県生れ。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年、『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王…
7月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:2992ナイス数:9戸惑う窓 (中公文庫 ほ 16-9)の感想窓にまつわるエッセイだが、絵画や彫刻、建築、小説、詩…と多くの作品から“窓”をピックアップして、展開されていくので読んでいくのが楽しかった。引用された数々の作品を実際に見たり読んだりしたくなる。 窓は境界線上で向こう側を拒絶し切ることなく、曖昧で相互的な関係の架け橋になる。けれどそこに必ずしも何かの行き来がある訳でもなく、ただ眺める事しかできないこともある。 安部公房の『箱男』についての言及が読めたのもよかった。読了日:07月25日 著者:堀江 敏幸(霊媒の話より)題未定 安部公房…
未見坂 (新潮文庫) 作者:敏幸, 堀江 新潮社 Amazon 未見坂 (新潮文庫) 著者 : 堀江敏幸 新潮社 (2011年4月26日発売) f.2024/4/6p.2011/4/25 小野正嗣氏の解説が秀逸だった。 from amazon site 山肌に沿い立ち並ぶ鉄塔の列、かつて移動スーパーだった裏庭のボンネットバス、ゆるやかに見え実は急な未見坂の長い道路……。時の流れのなか、小さな便利と老いの寂しさをともに受けいれながら、尾名川流域で同じ風景を眺めて暮らす住民たちのそれぞれの日常。そこに、肉親との不意の離別に揺れる少年や女性の心情を重ねて映し出す、名作『雪沼とその周辺』に連なる短編小…
本日は年に一度の健康診断でありました。採血してから、エコー、心電図と あって、最後の胃のバリウム検査まで二時間半くらいかかるものです。 病院で診察を受けるのであれば、じっと待つ間は本を読んでいることができ るのですが、検診は頻繁に呼ばれて、その都度本を読むのは中断することに なります。 こういう待ち時間に読むに適した文庫本は何がいいだろうかと、最近手に している三冊の文庫本のなかから選ぶことにです。 その三冊とは佐藤正午さんの「読むインタビュー」、ホレス・マッコイのもの と、堀江敏幸さんの「もののはずみ」であります。 このようにならべてみると、短くて読みやすいものについての堀江さんの エッセー…
昨日はとある花火大会がありました。近所なので、マンションの隙間からちらちらと見ておりました。綺麗に舞い上がり、そして消えていく花火。あゝ日本の夏だなと思いましたね。なんと、4年ぶりですからね。ご主人様は楽しまれたようですよ。 さて、ご主人様の本便りです。 「82年生まれ キム・ジオン」チョ・ナムジュ 著 キム・ジオンとは韓国で一番多い名前だそうです。多くの女性が感じている、女に生まれたことの不条理、男子崇拝の世の中などなど、多くを掲げ、そして、女たちは壊れていく様を描かれています。よくぞ、書いてくれました!とやはり多くの女たちは絶賛するのでしょう。かなり売れた本ですね。 「限界から始まる」上野…
あとは切手を、一枚貼るだけ (中公文庫 お 51-7) 作者:小川 洋子,堀江 敏幸 中央公論新社 Amazon 「あとは切手を、一枚貼るだけ」小川洋子(著)堀江敏幸(著) あらすじ 溢れ出す美しい言葉の数々 まとめ こんな人にオススメ おはようございます、ちわぷ〜です! 小川洋子先生の面白さを再確認して、未読の作品を読んでいこう!と思ったら、何やら面白そうな作品が…! 根強い人気を誇る堀江敏幸先生とのコラボ作を読みましたので、ご紹介させていただきます☆ 「あとは切手を、一枚貼るだけ」小川洋子(著)堀江敏幸(著) あらすじ かつて愛し合った「私」と「ぼく」の14通の手紙。 手紙の文面だけで、物…
1、作品の概要 『あとは切手を、一枚貼るだけ』は小川洋子・堀江敏幸共著の全14通からからなる往復書簡の小説。 2019年に単行本が刊行され、2022年6月に文庫本が刊行された。 『アンデル ちいさな文芸誌』2017年7月号~2018年8月号に掲載された。 奇数回は小川洋子が、偶数回は堀江敏幸が執筆した。 2、あらすじ 過去に愛を交わしあった男女の全14通の往復書簡。 「私」と「ぼく」はお互いの近況を報告し、「アンネの日記」や5つ子、渡り鳥の話をしながらためらいがちに過去の日々の出来事を語り合う。 そうした迂遠なやり取りの末に辿り着く過去の哀しい記憶。 赤い水着、海辺、生まれなかった子供、解かれ…
2021/11/29 入沢康夫『詩の構造についての覚え書』 入沢康夫『詩の構造についての覚え書』(1968年、思潮社) 試論・評論をいくつか読んで直観したけど、この人めっぽう気さくではないな。詩人入沢康夫に対する断定を避けるなら、実作者ボルヘスに対して作品を通じて読者の頭の中で浮かび上がる「ボルヘス」のようなものとすればよい。 「入沢康夫」は常に怒っている。内にドロドロしたものがあり、一方でその噴出の仕方は遊びや冗句、知的なガワをまとう。ここでmy opinionとしないところ、人と直接ぶつかろうとせず逃げ道を常に用意している、隙が無いのは、自己保存よりもより高い殺意のためではないか。レスバで…
少し静かにしていようよと言う堀江さん。それをパリの運河に係留された水上ボートに例える堀江さん。堀江さんの言うことだから「うん、わかりました」と言ってしまいそうになってしまう。 2020年9月29日 堀江さんの本の装丁はいつも堀江さんみたいに静かだ。 じっとしていよう、あまり動かないでいよう、分からないことは分からないままで、煮え切らないことは煮え切らないままでいいじゃないか、棄てきれないもの、噛みきれないもの、見きわめえないものの存在を切り捨てないでいいじゃない、という話。そんな話をパリの運河に係留された水上ボートに仮住まいする作者が、いつでも出発できるのにあえてそれを拒み、待機しつづける船の…
このブログ、訪問者数が少ないのをこれ幸いに、競馬以外のことは読む人のことはまったく考えず、自分の思ったことを勝手に記しています。興味ない方は遠慮なくすっ飛ばしてください。 芥川賞作家の宇佐見りんが、映画化された自身の作品について色々と不満を述べていて、ネットでは宇佐見氏を擁護し、制作側を非難する意見が圧倒的多数なのですが、私はどうかな?と。 純文学はエンターテインメントと違い、読む人によって解釈が全然変わってくる。むしろ原作者が意図するところを読む側が間違いなく汲み取る方がおかしい。私が一番好きな純文学作家は堀江敏幸なのですが、何が好きかって、作品全体のぼんやりとした世界観が好き。堀江氏が作品…
昭和四十四年に『かくれ里』を、昭和四十七年に『近江山河抄』を「芸術新潮」に連載した白洲正子は、昭和四十九年一月から『十一面観音巡礼』を一年半連載する。 紀行文のようでもあるが、昨今はやりの「食」「宿」などへの雑文的言及は厳しく排して、十一面観音に集中している。 《私の経験からいっても、十一面観音は、必ず山に近いところ、もしくは山岳信仰と関係のある寺に祀ってあり、あまり方々でお目にかかるので、自然に興味を覚えるようになった。何より驚くのはその数の多いことと、美しい作が沢山あることで、興味というより不思議に感じたのがはじまりである。が、そんなことはいくらいってみた所で仕方がない。学者なら学問の方か…
2024年9月20日時点での既刊及び刊行予定の講談社文芸文庫全1,317点(日本文学1,245点/海外文学72点、ワイド版を除く)をあげた。文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。編者、訳者は一部を除き割愛した。 阿川弘之『舷燈』 阿川弘之『青葉の翳り 阿川弘之自選短篇集』 阿川弘之『鮎の宿』 阿川弘之『桃の宿』 阿川弘之『論語知らずの論語読み』 阿川弘之『森の宿』 阿川弘之『亡き母や』 阿部昭『単純な生活』 阿部昭『大いなる日/司令の休暇』 阿部昭『無縁の生活/人生の一日』 阿部昭『千年/あの夏』 阿部昭『父たちの肖像』 阿部昭『未成年/桃 阿部昭短篇選』 青柳瑞穂『ささやかな日本…
・話していて、途中でやめたくなるときがある。あまりに型にはまりすぎて。やっと通じるかもしれない、と一瞬、言葉を見つけたと思ったその直後。そのまま話し続ければ何かを私は決定的に失う、黙り方を知らず話し続ける、別の私をつくりあげてそれを売る。 ・分かってくると思う、以前より分かってきたと思う。時間の感覚、言葉にならない感覚、などなど。こちらが何かすこし、掴んだと思い分かってきたと思う。わたしがそこにいるものに少し近づく、踏み込む。 と同時に、そこにいるとわたしが思っていたものは、別のところで別の方向に応えるように自閉する。新しい自閉のしかたを編み出しつくりだす。 そういう営み全体をいうのではないか…
今週のお題「好きな小説」 わたしはここ数年小説をあまり読んでいません。でも書いてみます。 どちらかといえば物語的、寓話的、非現実的な小説が好きです。 しんしんと降り積もる雪の中に閉じ込められるような、ぽんと置き去りにされるようなタイプのものが好みです。余韻大好きです。SF、翻訳物も好きです。 文体では、透明感がある、湿度が高い、叙情的な文体が好きです。翻訳物特有の文体も好きです。どういうものかと言われると困るんですが、やはり違う言語を翻訳しているので真摯で理知的なように思います。 歌うような、言葉遊びのような、詩のような、迷宮のような美しさのあるものが好きです。いっぽうで明晰な文体も好きです。…
2024年1月から8月までに発表された主な文学賞の受賞者・受賞作品を順不同で以下に示しました。今秋以降に発表される文学賞も多くありますが、2024年前半の受賞作のラインナップとなります。受賞作のみならず候補作となった作品も何冊か読みましたが、すべて粒よりの作品群だと思います、読書の参考になりましたら幸いです。 ▼2024年(1月~8月発表分)文学賞一覧 ▲ ◆新人賞◆ ◆芥川賞 主催 文藝春秋 第170回(2023年下半期) 九段理江 「東京都同情塔」 候補作 安堂ホセ「迷彩色の男」、川野芽生「Blue」 、小砂川チト「猿の戴冠式」、三木三奈「アイスネルワイゼン」 〇選考委員: 小川洋子、奥泉…
読んだ 中上健次「熊野集」 堀江敏幸「定形外郵便」 「現代詩手帖 2010年10月号」 ルイ=フェルディナン・セリーヌ「戦争」 田中小実昌「自動巻時計の一日」 乗代雄介「パパイヤ・ママイヤ」 四方田犬彦「日本映画史100年」 観た イエジー・スコリモフスキ監督「EO」 三宅唱監督「夜明けのすべて」 黒澤明監督「赤ひげ」 鈴木清順監督「陽炎座」 中島貞夫監督「狂った野獣」 エドワード・ヤン監督「牯嶺街少年殺人事件」 寺山修司監督「田園に死す」
軽めのショルダーバッグを肩にかけて散歩に出てみる。リハビリのつもりだ。ものの10分ほどで左肩が悲鳴をあげる。これではカメラバッグを背負ってバードウォッチングに行くのはまだ無理だな、と思った。つらいね。 「すべての見えない光」のあと箸休めのつもりで大島真寿美さんの「結 妹背山婦女庭訓 波模様」(文春文庫)を読む。 これは江戸時代の浄瑠璃作家近松半二の生涯を描いた「渦」(直木賞受賞作)の続編。半二没後の浄瑠璃界を舞台にした群像劇だ。半二の娘おきみ、半二の弟子徳蔵、絵師耳鳥斎の3人が軸となり近松柳や十返舎一九といった人々が顔を出す。みな実在の人物。とはいえ逸話がたくさん残っているわけではないので虚実…
八月十二日 金土日と三日間営業。明日は井尻さんのところへ本の入れ替えに行くから休みで、明後日も開ける。少しずつ、自分の中でイメージとリズムを合わせていきたい。昨日で店舗開けて1年たったので。まだまだ。お盆前だけど、一気に気温が下がった感じがあって嬉しい。営業中、何度も外の空気を吸いたくなる。昨日は久しぶりの人、初めましての人、それぞれじっくり本を探してくれる。夕方、いつものお客さん、ぼくが着ていたBOOKNERD tシャツに反応してくれる。その人は少し前に盛岡に行っていたらしく、BOOKNERDや羅針盤などを回ったらしい。そして早坂さんの著書「ぼくにはこれしかなかった。」を数日前に読み終わると…
夏休みのある日、平塚市にある花菜ガーデンに行きました。百日紅がたくさん咲いているエリアを見物しに行こうと思ったのです。暑さのせいでしょう、また閉園まで一時間半くらいの時刻だったので、広い園内にいる客を全員集めても二十人にも満たなかったのではないでしょうか?百日紅のエリアには私しかいませんでした。1960年代に製造された50mmF1.4のオールドレンズを2020年に発売されたフルサイズミラーレス(デジタル一眼)カメラにくっつけて撮りました。 そういえば、2000年前後かな作家の保坂和志さんの「カンバセイション・ピース」という小説が出たころに、よく「家に記憶は宿るか」というようなことが言われていま…