七十二候もとうとう最後、「鶏始乳」です。 「にわとりはじめてとやにつく」 と読みます。 春の気配を感じた鶏(ニワトリ)が 卵を産み始める頃となりました。 「とや」は「鶏屋」のことで、 鶏を飼っている小屋のことです。 そして「とやにつく」は、鶏が産卵のために 卵を抱いて巣に籠ることを意味しています。 「鳥屋に就く」(とやにつく)とも書きます。 現代では、「養鶏」(ようけい) が中心で、 季節を問わず店頭に並ぶため、 旬の感覚は希薄ですが、 本来はニワトリも 自然の中で生きている他の鳥類と同様に、 春から初夏にかけて産卵を行ない、 卵はその時期にしか生まれない貴重品でした。 この時季の卵は、 母体…