兄の死後、茉莉はしばらく兄の部屋で寝ていたが、それはやがて両親に禁止された。「不健康よ」喜代は言ったが、なぜ健康がいいのか、茉莉には理解できなかった。 主人公“茉莉”の母、喜代が言う 「不健康よ」 似た匂いのする言葉を私の母もよく吐いた。この言葉に似た温度の言葉を私はよく聞いた。つめたい温度の、「非常識だ」「おかしい」と引き離そうとしている力が込められた、「やばい」という言葉。 私は、超がつくブラコンで、超がつくシスコン。世界で何より二人が大事で大好き。 そんな私に母はよく「やばい」と言った。 19歳の弟にハグをする、手や腕をにぎにぎする、引っ付いて歩く。23歳の妹に、ハグをする、手をつなぐ、…