【概説】 ここでは軍事思想の歴史について、特に代表的な人物とその著作、そしてその背景について簡単に説明していく。 (※著作については書籍、論文を問わず『二重鉤括弧』を使って表記する) 【古代】 まず初めに、古代における軍事思想の古典を東洋と西洋からそれぞれ一つ挙げるとすれば、東洋からは中国の孫子(孫武)の『兵法』が、西洋からはローマのウェゲティウスの『軍事論』がそれに該当するだろう。 孫子の『兵法』は紀元前の作品でありながら、古代のみならず現代に至るまでその内容が通用するとされる屈指の名著である。たとえ軍事にさほど詳しくない人であっても「敵を知り己を知れば百戦あやうからず」という言葉には見覚え…