両雄を見事にすれ違わせた作家 両雄のすれ違いを描いた小説家がいる。司馬遼太郎である。幕末の京都、祇園の四条大橋近くで土佐の脱藩浪士・坂本龍馬と新選組副長・土方歳三がすれ違う。文春文庫の『竜馬がゆく』第4巻「片袖」293pageの手に汗握る一場面である。このシーンは司馬遼太郎だからこそ出来たと思われてならない。まずは原本で読んでいただきたい。 -----小説「竜馬がゆく」で誰もが持つ大きな疑問。『なぜ著者・司馬遼太郎は"龍馬"ではなく"竜馬"としたか? "お龍"を"おりょう"としたのか?』。ここに作家の裏事情があります。早めに結論を言いますと、龍馬と竜馬はまったく別の人物です。龍馬は土佐藩が送り…