岡田淳

岡田淳さんのこそあどの森シリーズの中の一冊。 「この森でもなければ その森でもない あの森でもなければ どの森でもない」 どこにあるのかわからないこそあどの森で起こる出来事が描かれるファンタジーシリーズ作品。 『ふしぎな木の実料理法』をまず読んで，古いなつかしいどこかの国のおとぎばなしを読んだときのような気持になった。一つ一つの設定が魅力的で，こそあどの森の住人たちの住んでいる家の挿絵もとても緻密でかわいらしく，これぞファンタジーという感じ。一巻は遠くの友人から届いた見たこともない木の実を料理するという物語で，いっぺんにこそあどの森をのぞいた気持ちにさせてくれる。 そして，『だれかののぞむもの…

――スキッパー。人間は昔、けものと同じように生きてたんだ。それがあるとき後足で立ちあがり、歩けるようになった。すると前足は手になったんだね。なにかをつかめるようになったのさ、人間はその手でなにを最初につかんだと思う？ 食べものかい？ 火かい？ 棒や石かい？ ちがうね。わたしにはわかる。人間が自分の手で最初ににぎったのは、きっと、別のだれかの手だったんだよ。（岡田淳『はじまりの樹の神話』理論社、2017） こんにちは。昨夜、新型コロナワクチンの２回目の接種をしてきました。今のところ副反応はありませんが、パートナーと長女と次女から「パパ、大丈夫？」的な言葉がひとつもないのでちょっとした倦怠感には襲…

今回は、「びりっかすの神様」という僕のおすすめの本を紹介します！

出先の図書館で 岡田淳「プロフェッサーPの研究室」を読み、 小学校のころも、この人の本をよく読んでいたな、と思い出しました。 それがきっかけになったのか、最近ちょくちょくめくっています。 今の言葉でそのとき感じたことを思い起こせば、 周りも自分も悪くないけど、すんなりなじめない感じや 言葉に出ないところでたくさん考えているところが 好きだったんだろうな、と思います。 「竜退治の騎士になる方法」では、おかずにいかなごの釘煮が出ている描写があって、 ひょっとしたらと思ったら作者はやっぱり兵庫生まれの人でした。 兵庫ではよくいかなごの釘煮を食べるって、県民性についての本に書いてあったけど ほんとなん…

今年も1月から12月までの読書メモを振り返り、心に残ったタイトルを書き留めました。選書は例年通り、初めて読んだ本のみです。カテゴリ分けはざっくりと。 ・・・って、これ毎年恒例の文言になりました(笑) ＃一般小説（歴史小説含む） 『じい散歩』『じい散歩 妻の反乱』藤野千夜子 『パッキパキ北京』綿矢りさ 『極楽征夷大将軍』垣根涼介 『きらん風月』永井沙耶子 『ワケあり紫部とおつかれ道長』奥山景布子 『紫式部は今日も憂鬱』堀越英美 『のちに更に咲く』澤田瞳子 今年の＃一般小説は、歴史物を多く読みました。ことに紫式部関係。 言わずもがな、今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の影響です。 ＃YA 『遭難者…

こそあどの森のひみつの場所 (こそあどの森の物語)作者:岡田淳理論社Amazon『こそあどの森のないしょの時間』に続く短編集第2弾。われわれの知らないこそあどの森の場所なんて、まだまだいくらでもあるはず。そう考えるとちょっと気が遠くなってしまいます。 たとえばポットさんは、木登りをしていい具合に森を眺められるちょうどいい枝を見つけます。 この感じ。ポットさんは子どものときから、ひとりで木に登ったとき、いつもこの感じを味わいました。上も下も右も左も前も後ろも、ずっと世界がひろがっていて、その中心に自分がいる、みんなから気づかれてはいないけれど、ここにいる、というなんだか説明できない、うれしさとさ…

10月の読書メーター読んだ本の数：48読んだページ数：2782ナイス数：191泣いた赤おに (日本の童話名作選)の感想★★★★☆読了日：10月03日 著者：浜田 広介りりかさんのぬいぐるみ診療所 思い出の花ちゃん (わくわくライブラリー)の感想★★★★☆読了日：10月04日 著者：かんの ゆうこ,北見 葉胡おおきな木の感想★★★★☆読了日：10月05日 著者：シェル・シルヴァスタインネズミのヒコ-キ (あかねピクチャーブックス 1)の感想★★★★☆読了日：10月05日 著者：たむら しげる怪談えほん (4) ゆうれいのまち (怪談えほん4)の感想★★★☆☆読了日：10月05日 著者：恒川 光太…

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』面白かった。何よりもキルスティン・ダンストがいい感じのタフな中年女性に変貌していて嬉しかった（エンドロールで名前見るまで気づかなかったほどに）。重低音がすごくて爆撃された気分になり、アメリカ人がこれ見ると東京人が『シン・ゴジラ』観た時のような気分になるのかなあと思ったり。『侍タイムスリッパー』も面白かった。よい脚本だし、笑って泣けるし、クライマックスの殺陣も素晴らしく、とにかく芝居がよかった。平日朝に年配の方がたくさん観にきてて、こりゃ劇場もかけたくなるわと思ったり。 土曜日。フジはすごいな。朝8時と夜7時、2回も「ドジャースVSヤンキース」放送するのか（同…

１．遂に任天堂が動く・・・！？ 任天堂は、9月19日にＩＲでポケットペアに対して特許侵害訴訟を提訴した旨を公表した。世間では「遂に最強の任天堂 法務部が動いたか！？」と大きな話題になっている。 www.nintendo.co.jp もっとも、本件は特許権侵害訴訟であり、主体的に動いているのは、法務部ではなく知的財産部だろう。おそらく知的財産部は、早い段階で弁護士・弁理士とチームを結成して本件の準備を入念に進めていたはず。法務部はあくまでサポート的な立場ではないか。 www.nintendo.co.jp 世間では、法務部と知的財産部を混同している人は多いが、両者の仕事は全くの別物と言っていい。か…

こんにちは！今年最後のおでん文庫の本入れ替えを行いました。 9～12月のテーマは 誰かの物語 です。 今回も読み応えのある本たちを揃えました！ 【本リスト】 ※9/7時点 『オオカミに冬なし』 『チェコのお婆さん』 『ふくろ小路一番地』 『幼い子の文学』 『今ここに生きる子ども 気分は小学生 百石小学校四年竹組留学記』 『ペーパーボーイ』 『シャイローがきた夏』 『片手いっぱいの星』 『がんばれヘンリーくん』 『ファージョン作品集 5 ヒナギク野のマーティン・ピピン』 『こそあど森のおとなたちがまだ子どもだったころ』 『ハイジ』 『海底二万海里』 『オオカミに冬なし』 クルト・リュートゲン 作…

『水木しげるの娘に語るお父さんの戦記』水木しげる／著、河出書房新社、1995年 二十歳で南方の戦場へ行った漫画家水木しげるさんの、決して深刻にならないライトな調子で聞ける体験記。娘さんへ語り掛ける優しい言葉で、ユーモアたっぷりに、戦争のリアルを切り抜く。前半は軍隊での様子、後半はラバウル島で住民と過ごした日々が生き生きと描かれる。「ぼくは異邦人を観察するのは好きなんだ」とあとがきでご本人が語る通り、フラットな視点で異民族の暮らしや文化をつづる体験記は、民俗学的価値も高い。 『ねがいの木』岡田淳／文、植田真／絵、BL出版、2024年 人々の願いが次々叶ってゆき、村に少しずつ家と畑が増え、鉄道が敷…

いいわけはつづくよ どこまでも作者:岡田 淳偕成社Amazon岡田淳と田中六大による関西弁おじいちゃんのホラ話シリーズの第4弾。シリーズ1作目の『願いのかなうまがり角』が2012年ですから、もうだいぶ長期のシリーズになりました。いや、岡田淳作品としては新しめの作品だと思っていたのに、『願いのかなうまがり角』が10年以上前？ それがホラでは？ おじいちゃんのホラは今巻でも絶好調でした。特に好きな作品をいくつか紹介します。 表題作「いいわけはつづくよどこまでも」は、おじいちゃんの小学校時代の友だちのツクローくんが遅刻のいいわけをするというタイプのホラ話。道に迷っていたおばあさんを助けていたというあ…

ねがいの木作者:岡田 淳ビーエル出版Amazon初出は「日本児童文学」1982年1月号。本のデザインやおばさん（大おばさん）が子どもにホラ話を聞かせるという趣向が2021年に刊行された『チョコレートのおみやげ』と共通しているので姉妹編のように思えますが、こちらの初出は1999年の『兵庫の童話』（リブリオ出版）なのでかなり時間の開きがあります。 〈語り〉という問題にもっとも自覚的に取り組んできた児童文学作家は、岡田淳であるように思われます。物語を作る物語である『手にえがかれた物語』（1992）、語り手が信用できない『竜退治の騎士になる方法』（2003）、定年退職した魔女が小学生を捕まえてお話を聞…

この本は学校で図書の先生がよんでくれて出会いました。 最初はこの本は少し分厚いので、あまり読む気になりませんでしたし、 気にかけもしませんでした。が、なぜか気が付いたら読んでいました。自分にもよくわからないです。でも、1巻からよんだのではなく、2巻から読んだということだけはおぼえています。 けれど、学校の図書館には、4冊しかこのシリーズが、ないのでもっと読みたいなと思っていました。 それでたまたま近くの学校の図書館ではない図書館に行きました。 するとこそあどの森シリーズの本がすっごくあったので5冊も借りましたがすぐ読んでしまいました。 ので、今私は早く図書館にいきたいなぁと思っています。 この…

こそあどの森のないしょの時間 作者:岡田淳 理論社 Amazon こそあどシリーズのOther Storise。 こそあどの森に住んでいるひとたちの、それぞれの時間に起こった小さな不思議。 どのタイトルも面白かったけれど、スキッパーの『日記帳にちいさな葉っぱをはさんだ日のこと』トワイエさんの『夜の森でひとばん過ごしたときのこと』が心に残った。 岡田淳さんの柔らかい線で描かれる挿絵が好きだ。 前回の『こそあど森のおとなたちが子どもだったころ』（２０２１年）はAnother Storey。今巻はOther Stories・・・意味が違う！

いいわけはつづくよ どこまでも 作者:岡田 淳 偕成社 Amazon 毎度、孫とおじいちゃんの掛け合いが抜群に面白い。オチのつけ方が絶妙。 四巻目だけど、文庫本でいっきに読んでみたい。出版してくれないだろうか。 中身にぴったりの挿絵も良い。