文芸作品そのものを読むよりも文芸批評を読むほうが好きでした。大学生時代はちょうど文芸批評の全盛期みたいな雰囲気があり、従来の印象批評の本が相変わらず続々出版され、フランス製のヌーベルクリティックとか英米加製のニュークリティシズム、そして日本でも新批評と呼んでいいような本や論考があいついで上梓されたり雑誌に発表されていました。 つぎつぎに紹介される斬新な手法に興奮したのを覚えています。 印象批評については忘れましたが、新しいタイプの批評の書き手を思いつくままに挙げれば、ガストン・バシュラール、ジャン・リカルドゥー、ロラン・バルト、ジョルジュ・プーレ、モーリス・ブランショ、マルト・ロベール、ノース…