就職してからというもの、自分の人生の限界というものを意識する機会がますます増えてきた。 それに伴い、中年の人の心理を描いた漫画に共感することも増えてきた。 たとえば、岩舘真理子の「月夜のつばめ」(岩舘真理子, 1989,『五番街を歩こう』集英社. 収録)。 「あたしには19歳年の離れている姉がいる」というフレーズで始まるこの短編は、高校生・愛子が、稼ぎ手を失った家族のために人生を捧げて生きてきた腹違いの姉・哲子について、「哲子姉さんを見てるとね…… あたしはなにかを見つけなきゃって思うの」と語る場面から始まる。 哲子はかつて家族のために結婚を諦めたことがある。 縁談の話にもまるで興味を示さない…