「デビュー20周年の今年で『けじめ』をつけ(本名の)北村春美に戻ることにしました」 会見場となった東京・赤坂の日本コロムビア本社に集まった300人を超える報道陣を前に、開口一番、こう語った都はるみ。 昭和59年(1984)3月5日、この時、36歳。 早すぎる引退に当時、私が籍を置く週刊誌は特集記事を企画。 歌手生活「最後の1週間」に密着することになった。 その挨拶のため、所属事務所「サンミュージック」を訪れると、相澤秀禎社長(当時)同伴で、彼女は出迎えてくれた。 その表情は晴れ晴れとしたというものからはほど遠く、ひどく疲れて見えた。 都は私生活で、まさに歌のような悲恋を経験していた。 それが、…