歩道にそれが横たわっていた。 まだ肌寒くない秋。23時。閑散とした歩道を歩いていたら、前の人が「わっ」と声をあげた。 立ち止まると、数歩先に岩のような凸がある。建物の影になっていて見づらい。 近づくと、鳩が横たわっていた。すこし太った成体。微動だにしないなぁと思ったら、前の人が「かわいそう……」と呟いた。それでようやく死んでるのに気づいた。ヘッドライトで車道から照らされては影に戻る。 形は潰れず、外から怪我は見えない。しかし、よく見ると、微妙に原型を保っていない。 なんか、ゆがんでいる。オーブンで焼いたようにほんのり溶けている。マリオ64の起動画面みたい。柔らかそうだった。 もし踏み潰したらど…