2006年4月、博士課程(正確に言えば、博士後期課程)に進学した。僕は26歳と中途半端な若さ。指導教官は並木先生からツベタナ先生へと引き継がれた。この段階になると、必修の授業というものはないのだが、こまごまと忙しくなってくる。いきなり博士論文の執筆に専念、というわけにはいかないのだ。 ICUの大学院の特色として、博士論文を提出する前に3本の博士候補資格取得論文(略称、キャンディダシー)を仕上げ、各審査に合格する必要がある。これはアメリカの大学院でよくある方式なのだそうだが、僕の周囲で博士課程を最短の3年で終える人は極めてまれだった。大多数の学生はアシスタントとして働きながら、身分の延長に奔走す…