西洋人の書いた思想書なり哲学書なりを読むたびに、かすかではすまない違和感を抱いてきた。特にイギリス、フランス、ドイツの人々の書いたものは、あきらかに想定読者として日本人を考えていないものだ。それを自分が読むというのはどういうことか、疑問に思わざるをえない。 「西洋人の書いた文物に感銘を受けたり、夢中になるこのわたしはいったいなんなのだろう?」 そういう気持ちから、日本文化論とか日本人論を読んできたのだけれど、前に読んだ『読書術』(加藤周一著、岩波同時代ライブラリー)がよかったのもあり、同じ著者の『日本人とは何か』(講談社学術文庫)を読んでみた。刺激的な、非常におもしろい本だ。 本のなかにさまざ…