🪻【源氏物語350 第13帖 明石12 】夢の中でも父帝は住吉の神のことを仰せられた。源氏は明石へ居を移す決心をした。 〜源氏は夢も現実も静かでなく、 何かの暗示らしい点の多かったことを思って、 世間の譏《そし》りなどばかりを気にかけ 神の冥助《みょうじょ》にそむくことをすれば、 またこれ以上の苦しみを見る日が来るであろう、 人間を怒らせることすら結果は相当に恐ろしいのである、 気の進まぬことも自分より年長者であったり、 上の地位にいる人の言葉には随《したが》うべきである。 退いて咎《とが》なしと昔の賢人も言った、 あくまで謙遜《けんそん》であるべきである。 もう自分は生命《いのち》の危いほど…