深田久弥と小松伸六 小松伸六が、『日本百名山』の著者として知られる深田久弥(1903~1971)と出会ったのは、深田が、昭和21年夏に中国大陸から復員し郷里石川県大聖寺町(現加賀市)に移り住んでいたころであった。当時金沢大学の教師をしていた小松は、深田との出会いを次のように書いている。 「深田さんとのおつきあいは、敗戦後の石川県大聖寺町(いまの加賀市)からはじまる。私はそのころ金沢で教師をしていたのだが、そこから出ている「北国文化」という地方文芸総合誌の編集を手伝い、深田さんには「北国文化賞」の小説部門の選者になることをおねがいにあがったことから親しくしていただいた。」(「深田さんのこと―澄み…