一条真也です。この Ⅰ・Ⅱ 巻合計で70000字を超える、わが人生最大の書評を、謹んで著者の御霊に捧げさせていただきます。『日本人の死生観 Ⅰ 霊性の思想史』鎌田東二著(作品社)を読みました。日本人の「いのち」は死後どこへ行くのか。汎神論と習合思想の土壌に醸成された独自の世界像を『記紀』『万葉』から探る「たましい」の精神史です。日本思想史に燦然と輝く宗教哲学者である著者が遺作として発表した本であり、心して読みました。著者は、1951年、徳島県生まれ。京都大学名誉教授であり、わが‟魂の義兄”でした。その魂の兄は、5月30日18時25分、ご自宅で奥様に見守られながら、その偉大な生涯を閉じました。享…