私は自分の小説を、小説の意味をわかって書いていない。書きあがった自分の小説を読んで、初めて小説を、小説の意味を理解する。自分の小説を発見する。編集が評価してくれる作品の特徴を考えると、書く前に自分の中で物語の最後が決まっている小説だった。短編は最初と最後しか決めて書いていない。途中の出来事は完全にフリーハンドで書いている。そして読み直すと、出来事の順序や描きかた伏線の張り方すべて書いた後に納得する。これ以上に適切な表現は見つからない、と。「私は自分の小説を何もわかって書いていないんです。ただカンで書いているだけなんです。この感覚はなんでしょうか」と入院中お世話になったH先生に訴えた。「直感って…