先日、江戸の侍、村尾嘉陵の江戸近郊散策記『江戸近郊道しるべ』の「志村に遊ぶ」の足跡を辿るため、板橋区の志村周辺に出かけた。最寄りは都営地下鉄三田線の志村坂上駅だが、あえて埼京線の板橋駅から旧中山道を歩いた。その時に通った中山道最初の宿場町、板橋の散策記。 志村方面に向かうには板橋駅西口に出るのが普通だが、ここは東口に出る。駅前ロータリーの向こうに見えるのが近藤勇(1834‐68)の墓である。新選組局長の近藤勇は慶応四(1868)年に戊辰戦争で江戸まで進軍してきた新政府軍に流山で捕らえられ、官軍の本陣が置かれた板橋宿に連行された後、四月二十五日に斬首となった。首は京都へ送られ三条河原に晒され、そ…