大宮は力をお落としになって、 「たった一人あった女の子が亡くなってから 私は心細い気がして寂しがっていた所へ、 あなたが姫君をつれて来てくれたので、 私は一生ながめて楽しむことのできる宝のように 思って世話をしていたのに、 この年になってあなたに信用されなくなったかと 思うと恨めしい気がします」 とお言いになると、 大臣はかしこまって言った。 「遺憾《いかん》な気のしましたことは、 その場でありのままに申し上げただけのことでございます。 あなた様を御信用申さないようなことが、 どうしてあるものでございますか。 御所におります娘が、 いろいろと朗らかでないふうでこの節邸《やしき》へ 帰っておりま…