一人で部屋にいると、仕切り戸があいて、明るい声がした。「おいっす」 顔をのぞかせたのは母だった。 電車とバスを乗りついで、ホームヘルプサービスを利用しながら一人で暮らす息子のようすを見に来たのだ。昼までの介助の用が済んでヘルパーさんが帰って少ししてからだった。 外へ出るのもままならないくらい、寒さの厳しい日が続いていた。「元気?」 上着を脱いで微笑した母を見て、ほっとしてうなずく。LINEでやりとりしていたが、会うのはしばらくぶりだった。「母さん、寒かったんじゃないの?」「きょうは、あったかいよ」 令和八年一月二十七日、仙台はいくぶん昼間に寒さがゆるんで、七度まで上がったようだ。「たい焼き、お…