太陽の陽射しが武道館の屋根を照らし、 張り詰めた空気は静かに高揚していた。 第85回全国高等学校剣道大会、ついに決勝戦の幕が上がる。 舞台中央、向かい合う二人の剣士。 福岡代表、絶対王者として君臨する 大将・伊吹 蒼真(いぶき そうま)。 研ぎ澄まされた刀のような眼光は、 対戦相手の全てを見透かすようだ。 竹刀を握る右手には、幾多の勝利を掴んできた揺るぎない自信が宿る。 対するは、ダークホースと目されながらも、 並いる強豪を次々と撃破してきた 京都代表・大将・御堂 龍之介(みどう りゅうのすけ)。 鋭い洞察力と変幻自在の剣技を併せ持ち、 その予測不能な戦いぶりは観客を魅了してきた。 どこか飄々…