封切り三日目。 席数117の【シアター1】の入りは二割ほど。 『呉美保』監督のフルモグラフィーを確認すれば、とりわけ直近の二作は、「家族」と日本に根深く蔓延る社会の問題を取り上げ、しかも終幕で僅かな光明は射すものの、根本的な解決は提示されないという共通点。 改めて〔そこのみにて光輝く(2014年)〕〔きみはいい子(2015年)〕をおさらいし、それだけで気持ちが沈んで行く。 で、本作。両親が聴覚障害者の家庭に生まれた『五十嵐大(吉沢亮)』が主人公。 原作者とは同名で、自身の体験を物語り化したのだろうことは容易に想定が付く。 元やくざで賭け事に目がない粗暴な祖父や宗教に入れあげる祖母が身近にいたら…