【映画初期と阪東妻三郎 (2)】 白井「阪妻さんのやったことはものすごく…。高廣(田村高廣)さんが書いた阪妻さんについての本があって、父親の部屋の押し入れに本が積んであって、見たら発禁の本で持ってたら罪になるようなものがうず高く積んであったと。社会主義、共産主義、部落差別、身障者差別に関する本。『無法松の一生』(1943)の無法松は被差別部落の人ですね。そのことは部落解放同盟の連中も認めています。『王将』(1948)も被差別部落民の話で、字が読めなくて書けないけど将棋だけは滅法上手い。阪妻さんはそういう考えを持ってたんじゃないでしょうか。そうじゃないと『無法松』も『王将』もやるというふうにはい…