278.花まんま/朱川湊人 すべての人間が幸せになれることなど、この世には、きっとありはしないのだ。誰かの幸せの陰には、必ず誰かの不幸せがある。幸せというものの多くは、たいていどこか歪んでいる(p105-106) 花まんま (文春文庫) 作者:朱川 湊人 文藝春秋 Amazon 昭和30〜40年代の大阪の下町を舞台にして、小さい子どもだった当時の不思議な思い出を回想しながら綴られる、第133回直木賞を受賞した朱川湊人の短編集。 最近、実写映画化もされた本作。ただ、映画は表題作である短編の一編を膨らませて制作されているので、ぜひ小説を手にとって、ほかの短編にも触れてみてほしい。 長屋式の賃貸住宅…