幸せのプチ (文春文庫)作者:朱川 湊人文藝春秋Amazon 夜中になると町を歩き回るという、銀色の仮面をつけた男。 不気味な男の正体を探る少年に、中年の警官は言った。 「あの人は悪いことはしないから安心していい。いつか君にもわかるときがくる」―-都電が走るこの下町には、どこか不思議で、ささやかな奇跡が起きる。 ほっぺが落ちる「ほそ長いコロッケパン」に、みかければラッキーな「白い野良犬」、 迷路のような道路の先にそびえる銭湯の高い煙突、赤い公衆電話。その町に出かければ、若い自分が残してきた苦い記憶、生きている限り 忘れないあの光景に出会えるのだろうか。町の名は、琥珀(こはく)――1970&19…