こうしてKの1学期は過ぎていった。ただ、これまで述べたように勉強以外にも時間を費やす“脱線”は時折あったものの、Kがかなりの時間机に向かっていたことも確かだ。高校の授業が終わってからT予備校にほぼ毎日通い、映像授業を長い時間受けていた。1学期の終わり頃にあった、T予備校での保護者向けの説明によると、Kの映像授業の視聴の進み具合は「けっこう良いペース」だということだった。「頑張ってはいるんだ」と私は感じ、その頑張りがまもなく成績の上昇に結び付いていくだろうと見込んでいた。 しかし、後から分かったことだが、この映像授業に落とし穴があった。確かにT予備校の映像授業はわかりやすく、かつ飽きも来ないよう…