奇才か、天才か──芸術を越えた“超現実”の支配者 1904年5月11日、スペイン・カタルーニャ地方にて、ひとりの少年が生まれました。その名は サルバドール・ダリ。20世紀を代表する芸術運動「シュルレアリスム(超現実主義)」を体現し、見る者の常識を揺さぶるような作品を次々と生み出した画家です。 柔らかい時計とゆがんだ世界 ダリの代表作といえば、『記憶の固執(The Persistence of Memory)』。溶けてぐにゃぐにゃになった時計が不気味な風景に配置されたこの絵は、「時間」という概念さえ疑わせるような超現実の象徴です。 彼はシュルレアリスムの中でも特に「夢と無意識」の探求に没頭し、フ…